映画寸評(1)
『アバンダント 太平洋ディザスター119日』2015年ニュージーランド映画。監督ジョン・レイング、出演ドミニク・バーセル、ピーター・ヒィーニー他。
実話を映画化したもの。ニュージーランドからトンガに二週間の予定で出航した双翼型のヨットが転覆し、乗り組んでいた四人が助け合い、ときにはいがみ合いながら生きのび、ついに119日目に助かるという話である。この映画で特に感じたのは人には危機に弱い人間と、信念を持ってぶれない人間がいると云うことであり、それでも弱い人間を責めても仕方がないと云うことである。そのことで全員が危機に陥るかも知れないが、それは仕方がないことだと受け入れることが出来るだろうか。救出されてからのマスコミの態度についても世の中そんなものだろうな、という気がする。
極限情況での人間の葛藤を知るためにも観る値打ちあり。
『リバイアサンX 深海からの襲来』2016年イギリス映画。
監督スチュワート・スパーク、出演アンナ・ドーソン、ミケイラ・ロンデン他。
深海と言っても五、六百メートルであるが、そこまで潜れる潜水服が開発され、強く希望した女性がその潜水服を着用して深海に潜る。そして彼女が深海で遭遇したものは・・・。辛くも助かった彼女は自分の着用した潜水服に付着した卵のようなものをひそかに持ち去る。そして自分が遭遇したものについてかたくなに語ることを拒む。やがてその卵がかえると共に彼女は次第に異常を来していく。その後はひたすらスプラッターシーンの連続である。
映画の出来はお粗末だけれど最後まで観ることは出来た。何しろ特撮とはとてもいえない安直な化け物がぐねぐねするばかりである。誰がどう見ても大蛸でしかなく、西洋人の蛸に対する恐怖を感じる。ただし、ラストの海岸に打ち上げられた無数の卵のシーンはシュールでちょっといい。よほど暇な人向き。
『スペシャルID 特殊身分』2013年香港・中国合作映画。
監督クラレンス・フォク、出演ドニー・イェン、アンディ・オン他。
香港の潜入捜査官(ドニー・イェン)は疑いをもたれだした気配を感じてそろそろ潜入捜査を切り上げたいと希望していた。そんなとき最後の任務として南海市の新興ギャングのリーダーの捜査を命じられる。同時にボスからもそのリーダーへの接触を命じられる。彼はそのリーダーを助けたことがあり、兄弟分となっていた。しかし全てのことにうさんくささを感じていたのだが、その予感どおり、彼には危機が迫っていた。それをどうやって切り抜けるのか。ノンストップの戦いが始まる。
ドニー・イェンのアクションシーンは定評がある。好きな俳優だが、それがこんなちょっとふざけた役柄を演じるとイメージが壊れてしまう。そう、香港テイストのおふざけ(これがあるからジャッキー・チェンは好きになれないのだ)と、延々と続く格闘シーンがいささか鼻につく。いくらタフでもこれだけダメージを受けてさらに闘うことなど人間には不可能だ。リアルな格闘であるほど嘘くさくなってしまうのである。もしドニー・イェンファンなら観ない方がいい。こんな潜入捜査官なんているはずがないし。
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