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2018年4月26日 (木)

映画寸評(9)

 読書に集中しにくいので映画を見始めたら止まらなくなった。一日二三本観ている。録りためてある映画が多いからいくらでもあるが、たぶんもうすぐ飽きるだろう。

『バイオレンス・マックス』2016年カナダ映画。
監督アラン・デロシェール、出演ギヨーム・ルメ=ティヴィエルシュ、アントワーヌ・デロシェール他。

 映画に出てくる少年少女はどうしてこんな風に自己中心的で親を怨んだり、そのあげくに非行に走るのだろう。そんな映画ばかり観ているということか。もちろんそんなバカ息子バカ娘でも我が子だから可愛いし護らねばならぬ、というわけでドラマが展開するのだから、良い子では話が始まらないわけであるが。

 刑務所に服役中のマックス(ギヨーム・ルメ=ティヴィエルシュ・名前が長い!)が脱獄する。悪の組織に関わった息子を救うためである。息子は母親の死の責任は父であるマックスにあるとして父を憎んでいる。その悪の組織のリーダーはマックスと同じ刑務所に入所し、彼にある依頼をしていた。息子を助け出すため、マックスは息子やその組織とともに行動する。

 ある秘密研究施設で開発された新型の合成麻薬の製法を入手するというのが彼らに課せられた仕事で、二重三重に仕掛けられた防御を破らなければならない。なんとか施設の侵入に成功したとき、思わぬ齟齬が生じる。恐るべき強敵がマックスを襲う。マックスの獅子奮迅の活躍で敵を倒し、大団円となる。カナダ映画としてはなかなか良くできていた。

 知識があり、才能があるのにバカな息子という憎たらしい役柄を演じていた編み上げ頭の少年が好演していた。

『エクス・マキナ』2014年イギリス映画。
監督アレックス・ガーランド、ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー他。

 面白い。エクスとはファイル、マキナとはマシーンのことだろう。

 大手IT企業に勤めるケイレブ(ドーナル・グリーソン)は抽選で社長の別荘に招待される。そこで出会ったのはサイバーテクノロジーで人間そっくりに作られ、高度なAIで人間と変わらない思考と感情を持つ女性ロボット・エヴァ(Ava)だった。

 ケイレブは社長から命題を出される。彼女を真に人間と感じることができれば合格である。ところが彼女の姿は内部の機械構造が半分見えるように作られており、どう見てもロボットでしかないが、その顔は極めて美しい。

 こうして彼女とケイレブのやりとりが始まり、次第にそのやりとりがあり得ない方向に向かっていく。

 人間とは何か、自分は本当に人間か。人は外観によって認識が変わるのだということをぞっとするほど根底的に見せつけられる。冒頭以外、ケイレブ、エヴァ、社長、そしてもの言わぬキョウコという女性の四人しか登場しない。その会話はしばしば形而上学的であるが難しいものではない。伏線に次ぐ伏線で、楽しめる。

 ラストは衝撃。ある予測をすると好い意味で裏切られる。ヒントを出すと興を削ぐのでいいたいけれど我慢する。

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