最上川船下り
最上川の船下りを初めて体験した。
こんな舟に乗る。中にはこたつがしつらえられているが、当日は快晴で日差しが注ぎ、温室のなかにいるみたいで暑いくらい、窓を開けて川風が入るのが心地よかった。ただ、風に乗って花粉が飛んでくるのか涙と鼻水、くしゃみが止まらず往生した。
乗船場に戸沢藩の船番所の門が建っている。本当の船番所があったのはここではない。ナビでそこへ行こうと思ったら、最上川の河原の方へ案内しようとする。しかし雪の山が遮っていて行くことが出来ない。いまは行けないのか。あきらめる。
ここは古口といい、周辺一帯は戸沢村。主流の最上川に角川(つのがわ)という支流が注ぎ込んでいる場所である。この角川を遡った場所が私の父の生家のあったところで、むかしは雪が深く、冬は陸の孤島だった。今年もしばしば大雪で名前の出た大蔵村はそのすぐ近くである。湯治場で有名な肘折温泉も近い。
舟が出たばかりなので周辺を散策する。最上川は今年の大雪がにわかな暖かい日に溶けて増水している。
満々と水をたたえる最上川に観光船が浮かぶ。モーター付きである。
五月雨ではないが雪どけ水を集めて早し最上川である。
正岡子規の句
朝霧や 船頭うたふ 最上川
唄っていたのはこの最上川舟歌であろう。これは中国文。英文のもある。学生時代、講座の大学院生がこの最上川舟歌が得意で、宴会のたびに聞かせてもらった。正調の最上川舟歌は素晴らしい。今回の観光船の案内の人の舟唄も絶品であった。聞けば全国大会で優勝をしたことがあるという。
舟に乗り込む。一番最初に乗り込んだ。このあと席はほとんど埋まるほどになった。人気があるのである。
雪どけ水が山から滝になって落ちる。このような滝が次々に見える。
たくさんあって撮っているときりがないのである。
帰り舟。いまは下りだけの片道運航しかしていない。だから帰り舟は空舟で、客が居ないからスピードも速い。帰りは路線バスで戻るのである。
また滝。いまごろだけ見られるものが多い。
仙人堂という神社。この右手の鳥居は大石から刳り抜いて作った珍しいものだという。芭蕉はここを参拝したそうだ。
船下りのハイライト、白糸の滝。確かに美しい。この滝は常に落下している。ここから降り口の草薙はすぐである。
芭蕉はさらに下流の清川で下船している。あの清河八郎の生まれ育ったところである。ちなみに乗船したのもずっと上流の本合海(もとあいかい)だったらしい。
船旅は十数キロを一時間足らずで下る。行って良かった。これから客が増えてごった返すことだろう。体験を逡巡していたのは来るたびに客の多そうなことにおそれをなしていたからである。しかし舟は多そうだから、客が多ければそれに対応しそうで心配なさそうであった。
これで東北小旅行は終わり。
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