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2018年4月11日 (水)

金の卵を産む鶏

 韓国サムスンは史上空前の売り上げと利益を計上したようである。そのせいかどうかウオン高が続いている。輸出比率の高い韓国にとってウオン高は負担だろう。そのサムソンがマスコミや文在寅政権の攻撃対象になっているという。「サムスンバッシング」というそうだ。朴槿恵元大統領との関係でサムスン電子副会長が起訴され収監され、ようやく釈放されたけれど無罪放免というわけではない。さらに病臥中の会長は李明博元大統領との関係で検察が調査中だ。

 サムスンが好調であるのはサムスン電子が好調であるからで、サムスングループ全体で見れば系列の上場会社16社のうち、サムスン電子の営業利益の割合は90%。もし半導体事情に陰りが出ればグループ全体が危機に陥りかねない。たとえばトップシェアを誇っていた中国でのスマホのシェアはついに1%を切り、壊滅的な状況だ。

 韓国の財閥企業が強いのは、トップダウンで迅速にしかも巨額の投資が可能なシステムだからだ。そのトップががんじがらめにされればその長所が生かせない。

 文在寅政権は労働組合に親和的なようだ。韓国GMの危機に当たり、GM側は撤退をちらつかせて労働組合と韓国政府に対し妥協と救済を求めているが進展が見られない。政府は補助するつもりも組合に問題解決を呼びかけようとする気もないようだ。サムスンには組合がない。組合を作る動きを阻止し続けて、それに成功しているかららしいが、それが文在寅政権には面白くないのであろうか。

 外から見ればサムスンは韓国の金の卵を産む鶏のように見える。その金の卵を産む鶏をよってたかっていじめようとしているようにも見える。鶏が不調になって金の卵を産まなくなったらどうしようというのだろうか。すでに造船や自動車という金の卵を産む鶏はくたびれ果てて卵をあまり産まなくなっている。カンフル剤を打って延命させているが、回復の見込みは暗いようだ。

 財閥企業はトップ一族が利益を独り占めして配分が不十分であるというのがマスコミや文在寅政権の考えであろう。それは事実でもあるが、市民運動的な正義感から「バッシング」を繰り返しても是正されるとは思えない。却って利益そのものを損なって、配分するものが小さくなれば元も子もないのである。

 市民運動で朴槿恵大統領を打倒した成功体験から、そういうことを考慮出来なくなってしまったのが韓国という国らしい。

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コメント

国全体で豊かになろうという発想はなさそうです。現在の両班になりたい人ばかりのようです。
なにかあると周辺国を巻き込んできます。一番危ない日本は備えが必要です。

けんこう館様
危うそうに見えてもなんとか切り抜けるものですから、韓国も土壇場で踏みとどまるでしょう。
ただ、アメリカが半島から手を引き、中国主導で南北統一という落としどころがやって来そうな気もします。
そのときアメリカは日本を支援するかどうか、あまり期待できそうもありません。
おっしゃるように日本は備えが必要です。
それなのにいまの国会の体たらくは酷いものですね。
中国は大よろこびでしょう。

こんにちは
韓国に限らず朝鮮半島に住む人たちの悪癖として、自分の権限をフルに活用して私服を肥やすというものがあります。けんこう館様のおっしゃるように「みんな両班になりたい国家」がまさに朝鮮半島の二国です。確かに日本はそのとばっちりを受けないように日頃この国を”対等な敵”として警戒を怠らずに付き合う事でしょう。それが大事です。
では、
shinzei拝

shinzei様
新しい広辞苑の話題を取りあげた韓国の朝鮮日報のコラムに、韓国には日本の国語辞典のような辞書が少なく、しかも最近はほとんど新しい紙の辞書が作られてもいない、ということが書かれていました。
言葉こそが文化水準を決めるものであり、「韓日の知力の差」はここに表れている、という嘆きのようなものが記されていましたが、本当なのでしょうか。
漢字の使用を禁止し、ハングル一辺倒とすることで過去の文書がそのままでは読めなくなっているとも聞きます。
そのかわりに英語のレベルは日本よりずっと高いともいわれますが、総合的に見てそのことは韓国にとって良いことだったのでしょうか。
楽天が社内の公用語を英語にしている様子が報道されていますが、私にはまともとは思えません。
私が英語が苦手なための妬みでしょうか。

おはようございます
おっしゃる通り韓国には国語辞典はあまりありませんね。最近向こうの国語辞典を買いましたが輸入代理の店は「最近は向こうも国語辞典の改定などをあまり行わない」と言っていました。
あと、語学をやる人間の間では常識ですが「外国語をやる前に自分の国の言葉を知れ」という言葉があります。自分の国の言葉を知らずにいくら外国語に精通したところで所詮「根無し草」であり、外国から真の尊敬は得られない、ということです。
いくら経済的に強くなっても韓国が歯牙にもかけられない理由は、英語ばかり力を入れて、口だけではハングルの素晴らしさを世界に喧伝しながら実際にはハングルなど脇に置いているその韓国の”言語的態度”でしょう。
では、
shinzei拝

お隣の国には「お気の毒」という余裕を持とうと思っています。

歴代の大統領の末路を思っても、
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4930/trackback

歴史的に巨龍に尻尾を抑えられている国としても、
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5147/trackback

甘いでしょうか?

shinzei様
やはりコラムで読んだとおりなのですね。
文化の継承ばかりが大事だとは思いませんが、おろそかにしていいことではない、大事なことだと思います。
shinzeiさんの言うように「根無し草」の心境なら、韓国の若者が韓国を「ヘルコリア」などと自嘲的に言い、多くの若者が自国に希望がないから海外に移住したいと口にしているらしいのもむべなるかなです。
自国のアイデンティティを反日や前職の大統領糾弾にたよる情況では仕方がないのでしょうね。

Hiroshi様
確かに韓国の人々にはお気の毒という言葉しかないですね。
それを脱するのは韓国の国民自身にしか出来ないことです。
しかしそのとばっちりがさまざまな形で日本や周辺の国にも及びますからどうしても気になります。
絶大な期待をもって支持した大統領が失職すると今度は糾弾する、新しい大統領には今度こそ、と期待を込めてさらに強く支持するが、期待が大きい分だけ失望も大きく、恨みをもって糾弾する、それがますますエスカレートしているようです。
この連鎖を断ち切ることができるのはいつのことでしょうか。
日本がその真似をはじめないことを祈るばかりです。

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