時代が大きく変わるかも知れない
中国の一帯一路構想は巨額の経済支援の約束を後ろ盾に着々と進んでいるようだ。しばしば中国にばかり有利な展開になって現地で反感を買うこともあると報じられるが、途上国にとっては背に腹は替えられない事情もあるのだろう。ただ、私としてはその中国のやり方に傲慢なものを感じて、日本が一帯一路に加わることには賛成しかねる気持でいた。
今回イギリスを含めてのEUと日本がFPA(経済連携協定)で合意した。これで世界のGDPの三分の一の経済圏が成立する。日本はすでにTPPをほぼ成立することに成功している。そのTPPにはイギリスが参加の意欲を示している。このことはアメリカや中国が一方的に貿易や経済を主導することに抵抗する一つの勢力ができることを意味する。各個撃破を狙うアメリカや中国に、数で対抗する準備を調えているということだと思う。
いまアメリカは機会の平等ではなく、結果の平等を正義として強引な貿易戦争を仕掛けている。アメリカ車が日本であまり売れないのは日本のせいだと決めつけているが、ドイツ車がいくらでも売れていることをトランプ大統領はご存じないようだ。アメリカの自動車会社は日本で車を売るための努力がたらないのではないか。
いろいろなことでアメリカと同様にせよ、そうでなければ障壁である、とトランプ大統領は吠えているようである。これは明らかに暴論である。反対のことを日本が言ったらどうなるか。アメリカはあまりにも利己主義的に見える。
どこの国も自国を最優先にするのは当然だが、そこにはおのずから限度があり、節度も必要で、それをある程度守っていたからアメリカは信頼されていた。アメリカがその歯止めをなくせば、そんなアメリカといままでのようにつき合うべきかどうか、どこの国も考えはじめるだろう。
最近、日本も中国との関係を見直す必要があるような気がしてきた。もちろん中国との関係は中国の覇権主義的な傾向を考慮して慎重にしなければならないけれど、経済面から言えば、アメリカよりも中国の方がましだ、という事態が来るかも知れない。
アメリカの衰退はまだ先のことだという。しかしトランプ大統領が衰退に舵を切りつつあるような気配もある。彼を支持するアメリカ人が想像以上に多いことはアメリカの本質を露呈させているのかも知れない。
どうやら日本もアジア回帰に舵を切るためのターニングポイントが近いのかも知れない。もちろんそんな方向に進む前に中国も変調を来さないとはいえない。しかしあらゆる事態を想定して選択肢を拡げる時代になりそうな気がする。一帯一路構想への参加も含めてのことである。
私がどうするこうするという話ではないし、そうすべきだと主張しているわけではないが、そういうこともあり得ると認識しておくべきかな、と感じ始めた。つまり経済、そして軍事の力関係からアメリカ一辺倒でも仕方がないのかな、と思っていたのをそれではまずいのではないか、と思い始めたということである。ちょっと遅いか。
« 明日には情報があるだろうか | トップページ | 葉室麟『玄鳥さりて』(新潮社) »
選挙のあるアメリカは変わる可能性がありますが、民主主義国家でない中国とは相当細かいルールを決めないと利用されるだけのような気がします。
投稿: けんこう館 | 2018年4月21日 (土) 14時47分
けんこう館様
日本が思うような関係を中国とのあいだで築くことは難しいと思いますが、連携のできる分野を模索する必要があるのではないかと考えます。
損得で考えてもいい分野であり、アメリカとは損が大きいという場合は中国との関係を考えるということで、たぶんそれが中国にとっても利益があることがあるはずです。
日本はアメリカのお蔭で繁栄したともいえますが、その繁栄は日本が努力した面も多分にあります。
その果実をアメリカがしばしば横からもぎ取ったという見方もできますからね。
それを評価しないトランプ大統領やアメリカには、日本の意地を見せることも必要ではないかということです。
どんな小国もそれぞれに意地を見せるものです。
日本にはその意地が少々たらないからアメリカも日本に好き勝手をしてきた気がします。
投稿: OKCHAN | 2018年4月21日 (土) 15時35分