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2018年4月10日 (火)

日高義樹『米朝「偶発」戦争』(PHP)

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 著者の日高義樹氏はNHKの海外支局を歴任後、いまはハドソン研究所の主席研究員を務める。アメリカを始め人脈が豊富なようで、その情報はディープなものである。そのために、書かれている本の内容は、どこまで本当なのか?と思わないことはない。そんな裏話は簡単に公開して良いものなのか?と疑問に思ったりするからである。

 この本では結論として、アメリカが自国の意志として北朝鮮を軍事的に攻撃することはあり得ない、アメリカにとって軍事攻撃することになんの利点もないからだ、と断言している。多分そうなのだろう。そうでなければとっくの昔に攻撃しているはずだからだ。

 ただし、「偶発」戦争はあり得る、というのがこの本のポイントだろう。米軍の軍事能力は想像以上に劣化が進んでいるという。沖縄などでの米軍ヘリのトラブルの続発を見ればそれが分かるであろう。

 しかも人的損耗を避けるために自動化した偵察機などによる行動が急増している。そして攻撃能力のあるその偵察機が過剰反応するトラブルがしばしば起きているというのである。

 北朝鮮にはその事態を考慮する能力が無い。過剰反応する自動システムに対して過剰な刺激を与えたとき、「偶発」的な戦闘が発生するおそれは大きいというのである。長い緊張状態が続いている中の「偶発」的な戦闘が戦争に発展しないとは言えないのである。

 トランプ大統領の言動を見れば分かるように、アメリカ自身が一部でシステム障害を起こしつつある懸念がある。そのとき、「偶発」的な事態が「壊滅」的な事態にならないとは限らないことは、歴史が教えている。

 日本はそのときの事態に対して防衛システムを強化しているが、ほとんど蟷螂の斧だと著者は言う。帯にあるように東京に飛んでくる北朝鮮のミサイルに対して対応する時間はわずか15分なのだという。「偶発」戦による北朝鮮の暴発行動の被害は食い止めるのが困難なのである。「偶発」による戦争はないにこしたことはないし、そう願うしかない。そういう危うい情況にあることは恐ろしいことである。

 ところで、トランプ大統領が米朝会談でどんな約束をするのか、日本にとってはとんでもない約束をしてしまうおそれがおおいにある。そもそもトランプ大統領にとって韓国や日本のことなどあまり考慮に入っていないことは明らかで、いままでの大統領以上であろう。そもそも他国のことなど本音ではどこの国の長も考慮などしない。ただ、アメリカは理念による建前で物を言っているところに救いがあった。しかしトランプにそんな理念など欠片もなさそうである。過去のアメリカが理念で建前を語ってきたことを馬鹿なことだったと思っているようでさえある。

 しからば日本はどうするか。望むと望まぬとにかかわらず、自国防衛が必須であると著者は結論づけるのである。たぶんそういう事態に進展することだろうと私も思う。

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コメント

危険かもしれないと判断した時点で雨戸をその都度閉める私は変わり者のようです(笑)
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4904/trackback

それでも、J-アラートが出た段階で(福岡では)1、2階のすべての雨戸を閉める時間的余裕すらないことが判りました。ニュースはいつでも東京中心。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5156/trackback

日高義樹氏はそれなりに評価している人物です。 私も「損得で考えると米朝開戦はないはず。しかし偶発事故は起こる。」と考える方です。しかし、

<公開できるようなディープな情報など無い> というのが私の「常識」。
そうした「売り」の本は「眉唾もの」と考える方。

米軍に限らず、自衛隊の航空機事故がこの頃多くなったのは「訓練頻度の高まりを表す」というのが私の素人判断。
「劣化」であれば何故「今」なのかの説明がつかない。

一方で米国の身になれば、 『今なら間に合うが、5年後にはもう遅い、今ならリスクは日本と韓国が引き受ける。との考えに(トランプならば)流されるだろう』 と考える方。 過剰反応でしょうか?

ただし、そこから「自国防衛が必要」との結論は短絡すぎる。基本、私は今の日本に「日米同盟以外に選択肢はない」と考える方。

Hiroshi様
おおむね私の考えと近い気がします。
ただし、日米同盟が今後も期待できるかどうかについては、最近懐疑的になっています。
アメリカが東アジアから撤収する事態が来る可能性は高まっている気がします。
アメリカの態度によっては日本は望むと望まざるとに関わらず中国と親和していくしかないかもしれない、などと今まで決して考えもしなかったことを考えるようになってきました。

おはようございます
これは私の研究仲間が言っていたことなのですが、本当の朝鮮半島における核危機は、北ではなく南の韓国が「北が持つなら俺も」と、自前で核を持つことだそうです。
と、言うのは北朝鮮は核をアメリカとの交渉カードとして使っているのに対し、韓国が核を持てば、場合によっては日本と抜き差しならない状態になった時、遠慮なくその核を日本のどこかに使うだろうということです。そもそも北を含めた朝鮮民族は核の本当の悲惨さを知らないだけに、そうなるのが余計恐ろしい、と言っていました。今後のトランプ政権の行き方によっては、本当にそうなる可能性があるということです。
では、
shinzei拝

shinzei様
その懸念は杞憂ではないと私も思います。
韓国の日本に対する一方的とも見える怨念は、日本を焦土にしたときにしか晴らせないほどなのかも知れません。
それは実は韓国自身の自己不全咸によるものではないかと思いますが、そのことを自覚している韓国民は少ないのではないでしょうか。
反日は実は日本の問題ではなく、韓国の人々の精神の問題なのだと思います。
だから日本が何をしても(謝罪をしようが金を払おうが)解消することはないのではないでしょうか。

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