佐伯泰英『剣と十字架』(双葉文庫)
相変わらず佐伯泰英は次々に新作を書き続けているようだ。店頭の平棚を見れば毎月二冊、三冊と新しい本が並んでいる。一時期シリーズを数種類読み続けていたけれど、ついて行けないので、最後は『居眠り磐音』シリーズのみに絞った。それも遂に完結してやれやれと思っていたら、磐音の息子、坂崎空也のシリーズ『空也十番勝負』のシリーズが始まってしまった。これは第三番の勝負である。
薩摩へ武者修行のために単身で潜入し、示現流の一派と遺恨を残すことになった空也は、五島列島に身を潜める。そしてそこで異常な異人剣士と死闘をする、というのがストーリーだが、そこには隠れキリシタンや五島列島の当時の風物などが描かれていて飽きない。しかも江戸の直心影流道場、尚武館のなつかしい面々の消息も描かれていて、旧知の消息を知る思いがする。
空也は恐るべき剣士に成長しつつある。そうなると相手はそれに匹敵する強敵を配しなければならない。なかなか作者も大変である。空也は次にどこに向かうのだろうか。
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