前回ブログに関連して
前回『ある海辺の詩人 小さなヴェニスで』という映画の話を書いた。この映画のなかで「詩人」と呼ばれる老人ベーピが自分はもともとユーゴスラビアの生まれだと語る。その中で、「チトーが死んで国はばらばらになり、ユーゴスラビアなどという国はなくなっちまったがな」と言う。
ここで思い出したのが『ネレトバの戦い』という映画である。ユーゴスラビアのパルチザンが、寡兵よくナチス軍と戦った史実を一代叙事詩にした映画である。クルト・ユルゲンス、ハーディ・クリューガー、フランコ・ネロ、ユル・ブリンナーなど数多くの名優が参加した。
ある意味で陰鬱で重い映画なのだが、私の戦争映画ベスト1である。多民族国家をチトーというカリスマがまとめ上げて闘い、新生ユーゴスラビアという国を作り上げた。そしてチトーの死後、国は血で血を洗う戦いのあと四分五裂した。
詩人ベーピのことばには、いまは亡き祖国に対するさまざまな思いが込められている。そのことを知った上で彼のことばを受け取れるのは『ネレトバの戦い』という傑作映画を観たからだということをあらためて感じた次第である。
『ネレトバの戦い』は学生時代になけなしの金で映画館に三度も通って観た思い出の映画なのだが、残念なことにビデオもDVDも入手できなかったし、WOWOWでの放映もないので、思い出の中にしかその映像はない。シルバ・コシナというクロアチア(思えばここも旧ユーゴスラビアである)生まれの女優が扮した女性兵士の最期の突撃の喊声が耳に残っていて忘れられない。
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