朗読
むかしは、人付き合いのない山の中ででもなければ、独り暮らしでも誰かと話さないで生活することはできなかったが、いまは無言でも差し支えない。というよりも独り暮らしだと誰かと積極的に関わろうとしないかぎり無言でいることになってしまう。
そんな生活がしばらく続いたあとに友人や身内のものと会うと、声がかすれたようになって上手く発声できない。しばしばどうしたのかと問われる。身体は使わないと機能が衰えるようである。しばらく会話していれば普通に発声できるようになるのだが、母が晩年発語障害になって意思疎通ができなくなって急激に認知機能の衰えたのを見ているので、気になっている。
そのためだけに独り言を言うようにするというわけにもいかないので朗読をするようにしてみたことがある。最初は好きな中原中也や萩原朔太郎の詩を声に出して読むようにした。独りだからかまわないようなものだがちょっと照れくさい。途中から島崎藤村の詩に替えたら七五調で調子が良いし、ある程度の声量がひとりでにでるので具合が良い。
しかしながら楽しくてやっていることでもないから、こういうことはなかなか続かないもので、最近はサボっていた。そうしたら架かってきた電話にこたえる声がかすれてうまく声が出ない。いままでよりもひどくなっている。
あわてて朗読を再開した。いまは徳冨蘆花の『自然と人生』を呼んでいる。美文でしかも一つひとつのはなしが極めて短い。黙読で読んでいたときとは違って、描かれている内容が鮮やかにイメージできることを知った。声を出して読んだ方が解りやすい文章というものもあるのだ。これは当たりであった。
とはいえ、これもどこまで続くか分からない。分からないけれど効果があることだけは分かったので、やめたり再開したりを繰り返すことになりそうだ。別の自分との会話はときどきする。しかしそれは声を出さずにする。いろいろのサークルなどで話し相手を求めるという手もあるが、どうもそういうのが好きではない。猫でもいたら好い話し相手になるのだが、マンションでは猫が可哀想だし、泊まりがけで出掛けることができなくなってしまう。
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女性はおしゃべり。
電話でも夫が怒こるような長電話になる事も。
その点 男性は寡黙な方が多い。
OKCHANさんのような症状・・・夫にもあります。
夫は自宅でカラオケをしています。
(最近は余りしていませんが!!!。)
カラオケの会などに入るのは?・・・いかがでしょうか?。
投稿: マーチャン | 2018年5月13日 (日) 08時52分
マーチャン様
在職中は営業という仕事をしていたので接待などでカラオケを歌う機会がたくさんありました。
苦手だったのですが、何度も歌っているうちにそこそこ歌えるようになりました。
けっこう高音が出るので小林旭などが得意でしたが、いまはその高音が出ません。
もともと苦手だったし、仕事でないのにわざわざ人前で歌う気にならないというのが本音です。
好きな人は好きですけれどねえ。
投稿: OKCHAN | 2018年5月13日 (日) 12時19分
こんにちは。
同じような症状で、声がかすれることが、まま、あります。
お気に入りのブログを声を出して読んでみましょうかね。
自分を自分の相手にすると、言ったばかりですが、
私の場合は、♰教会に行くことはできますが、そのほかの
集まりでも、なにかと、世話役や担当を割り当てられる
のがいやで、躊躇しています。
お互い、なんとかしなければ、なりませんね。
投稿: しらこばと | 2018年5月13日 (日) 15時35分
しらこばと様
人見知りする方で、人付き合いが億劫なのですが、旅に出ると人間が変わって人に話しかけることもあります。
友達に会うか旅に出るかすれば無言を免れることができるので、それが私の会話復活の手立てです。
そろそろ出掛けることにしようかと思っています。
投稿: OKCHAN | 2018年5月13日 (日) 17時30分