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2018年5月10日 (木)

映画寸評(13)

『ファルコン イタリア警察特殊部隊』2017年イタリア映画
監督トニ・ダンジェロ、出演フォルトゥナート・チェルリーノ、ミケーレ・リオンディーノ他。

 イタリアのナポリが舞台。暴走を咎められても平然としているベテランと若手のコンビの刑事二人。若手の失態でベテランは怪我をし、ベテランはそれを咎めないが二人の仲は冷え切る。そんなときベテランの友人の古参刑事が自殺する。洩れてはならない悪事を使っていた情報屋に洩らされて査問にかけられ、進退が窮まったのだ。そのことがきっかけでコンビの二人がさらに別々に勝手に暴走を始める。そしてそれぞれが関わったことをきっかけにチャイナマフィアとの死闘へ突入していく。

 子どもが関わると同様に、事件に犬が関わると人間のこと以上に感情が爆発するようだ。そういう映画をいくつも観た。私はそこまで動物に思い入れはできないが、それでもそうなる気持ちは分からないことはない。この映画にも犬が大きく関わり、そのことで捨て身の殴り込みが行われる。
 
 台詞を切り詰めているから逆に台詞が光り、気持が伝わる。しっかり観ていないとストーリーが分からない。次第に人間関係や、立場、それぞれの気持が見て取れるようになる。こういうクールな映画は好きである。クールだから熱い。そういう映画である。

『壬生義士伝』2003年日本映画。
監督・滝田洋二郎、出演・中井貴一、佐藤浩市、村田雄浩、中谷美紀、夏川結衣、三宅裕二他。

 明治三十二年、ある老人が孫を背負って医院に駆けこむ。医院は明かりをおとし、すでに閉院していた。しかも扉には明日転居すると記された貼り紙がある。それでもあえて戸をたたくと、出て来た医師(村田雄浩)は快く二人を迎え入れる。

 そこで老人が目にした写真には思わぬ人物の姿があった。ここから老人の長い回想が始まる。老人の正体は新撰組の斉藤一(佐藤浩市)、そして写真の主は彼が毛嫌いしていた同じ新撰組隊士で南部藩出身の吉村貫一郎(中井貴一)であった。

 斉藤一が吉村貫一郎を毛嫌いしたのは武士にあるまじき吝嗇で金にこだわる姿だった。そしてその理由を映画は次第に明らかにしていく。なぜ吉村貫一郎が脱藩してまで新撰組に入ったのか、彼が何を最も重んじていたのか。そして実は斉藤一は最初毛嫌いしていたけれど、いまは彼に最も敬意を持っていることも明らかになる。

 彼が最も武士にあるまじきものとして考えていた吉村貫一郎が、実は最も武士らしい武士だったことが彼にも解ったからだ。そしてなぜその医院に吉村貫一郎の写真があるのかが医師から語られる。さらに吉村貫一郎の悲惨で凄絶な最期の様子が知らされる。

 映画としては悪くないのだが、どういうわけか最期の30分間が恐ろしく冗漫で、全体の興を削いでいる。これをとことんそぎ落とす方がずっと余韻の残る好い映画になったのに、と思うと惜しまれる。演じていた中井貴一もうんざりしたのではないか。それに瀕死のなかで語ることばは当然のことながら聞き取りにくいのである。私はいささか耳が悪いので、台詞が聞き取りにくい映画は苦手なのだ。

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コメント

映画ではなく、テレビの正月特番の長~い時代劇で渡辺謙が吉村貫一郎役で出てたほうが良かったです。中井貴一はなんとなく都会的なイメージで似合わない気がしました。

けんこう館様
テレビの方を観ておりませんので比較できませんが、映画の中井貴一も悪く無かったと思います。
映画では、佐藤浩市と夏川結衣が出色に感じました。

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