映画寸評(15)
『エンド・オブ・ザ・フューチャー』2015年イギリス映画。
監督ジャスティン・レフガルネ、出演エリオット・コーワン、エロディ・ユン他。
近未来(2024年)、合法の快楽ドラッグが製薬会社で製造販売されるようになっている。もちろん違法ドラッグも蔓延し、それは厳しく取り締まりを受けている。合法快楽ドラッグで巨額の利益を得ている製薬会社のコンピューター室で身元不明の若い男の死体が発見され、捜査が開始されるが、そもそも彼がどこから侵入したのか解らない。その死体のDNAに該当する人物は存在しないこと、身体からは全く未知のドラッグが発見されたことなど謎だらけである。
映画ではその死体となった人物が何をしていたのか、そして誰に殺されたかについて、極めてあいまいながら断片映像が冒頭に映し出されている。これが全体の伏線である。
捜査官フランク(エリオット・コーワン)は謎を解くために調査を進めるが、警察の上部から圧力がかかって捜査から外されてしまう。そこに製薬会社の影を感じた彼は独自に調べを進めるうちに警察と製薬会社のあいだに異常な癒着があること、何か恐るべきことが製薬会社によって行われているらしいことが分かって来る。
そして彼が目にしたのは現実にはあり得ない光景だった。信じられないことだが信じざるを得ないことがある。そして事態には彼の家族も深く関係していることを知ったとき、彼はその身元不明の死体の正体を知る。そして彼が選んだ決断は・・・。
最初の断片映像と全く同じシーンがラストに重なり、結果が大きく異なることを呈示して映画は終わる。何が何やら分からないままの人もいるだろうし、釈然としない人もいるだろうが、私にはそこそこ面白かった。
SF作家のリチャード・マシスン原作の映画『ある日どこかで』(クリストファー・リーヴ主演)や、イギリスの評論家で作家のコリン・ウィルソンの小説『賢者の石』がこの映画を観るときの参考になるのだけれど、たぶん知らないだろうなあ、とちょっと知ったかぶりをさせてもらう。
『インタープラネット』2016年オーストラリア映画
監督ジェシー・オブライエン、出演ダン・モール、アリーシャ・ローズ他。
あの『マッドマックス』を思い出させるような、乾いてほこりっぽくて砂まみれの世界が全編を通じて映し出される。オーストラリア映画というのはどうもこの傾向があるような気がする。それほどたくさん観ているわけではないが。
最初の展開はなんだかテンポが速すぎてストーリーが良く解らない。解らないなりに勝手に解釈して観ていた。主人公が断ることができない事情から、ある依頼を受けて宇宙船から秘密情報を盗もうとするのだが、そこから情報を転送しかけた途中で宇宙船が出発してしまう(!)。その上その宇宙船が見知らぬ砂だらけの星に不時着してしまうのである。無理矢理な展開であるがほとんどはその不時着した星での不思議なお話である。
理屈を考えていたら観続けるのが難しい映画だが、こう言うのを無理矢理ねじ伏せて読み取るのは嫌いではないのでそのまま観ていると案外面白かった。異星の生物と共生することで生命を復活させるなどというはなしはこういう展開でないと無理だろう。ある意味で再生願望の成就である。だから死んだはずの女性もまた生きて現れるのである。そういう映画なのであらすじを説明するのが難しい。物語は主人公の考える優先順位に従って展開されるので、主人公のやっているゲームを観ているようなものか。
この映画ではない、同名の映画を以前観たことがあるような気がするのだが、思い出せない。
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