命令するならそれなりの見返りをすべきだろう
アメリカが「イラン産の原油を買うな」と各国に求めている。要請というよりも命令しているように聞こえる。それは言うことを聞かなければ制裁することを臭わせているからだ。
日本はイランから総原油購入量の5%を輸入しており、いきなりアメリカの命令に従うのは困難である。それならアメリカはその分をイランから購入できる価格以下で日本に供給することを約束するのが筋だろう。アメリカは世界一の産油国だからイランの原油を止めても少しも困らないし供給することは可能なはずだ。
もちろんそんなことはトランプ大統領の念頭にないだろう。知ったことではないと思っているはずだ。それにアメリカが供給すると言ってもその準備と輸送にかかる時間がたぶん一年以上かかることになるから現実的でもないが。
イランの原油を購入しないように各国が足並みを揃えたところで、抜け駆けをする国が必ずある。中国だ。イランは原油を売らねば困るからその足元を見て安く買いたたき、経済的に有利になる。ISの石油にしたってどこかが買っていたのであって、それがどこかは想像力を働かせれば見当がつくというものだ。なにしろ世界一のエネルギー消費国であり、エネルギーをがぶ飲みしなければやっていけない国なのである。さすがに公然とは購入しないだろうが、いままでもこれからもそれなりの手立てをつくすだろう。
すでにヨーロッパはトランプにうんざりして嫌気がさしているように見える。世界がトランプに嫌気がさせばアメリカはますます自らの首を絞めていくことになる。トランプには相手の気持ちを測るなどと言う高等な思考があるように見えない。いまが良ければいい、自分のパフォーマンスに喝采する国民がいればそれでいいようだ。
それは中国やロシアのひそかに喜ぶところだろう。せめて日本だけでもつなぎ止めておくために、イランの代わりにアメリカが原油を供給するくらいのことを口先だけでも言ってみてもいいと思うが、属国にはそんな気遣いなどするつもりなどないか。
こんなことぼやいたところでごまめの歯ぎしりなのだけれど、ぼやかずにはいられない。情けないことである。
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ホメイニ革命以来、米国は日本とイランの関係を黙認していたわけですが、その背景にはイスラエルーイラン問題があると言われています。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2710/trackback
だから歴代米国政権は日イ関係を黙認する一方、対イラン強行ポーズをとっていたわけですが、今の親イスラエルのトランプ政権にはそれがない。そしてそのリスクを商売人トランプは理解不可能なのでしょう。
投稿: Hiroshi | 2018年6月28日 (木) 00時19分
Hiroshi様
他国の状況を斟酌しない、世界情勢を考慮しない、将来どうなるかを想像しないというトランプ流は、ある意味でものごとをシンプルに考えることの出来る方法ですが、それが通用するように見えるのはアメリカが強権を持っているからでしょう。
中国を除けば、普通の国がそんなことをしたら国が破綻してしまいます。
反知性でも揺るがずにきたアメリカの体制がさすがに揺るぎかねないように思いますが、トランプにはそんなことは理解不能なのでしょうね。
投稿: OKCHAN | 2018年6月28日 (木) 06時33分
おはようございます
トランプに”捧げたい”歌詞があります
壊してしまうのは一瞬でできるから
大切に生きてと彼女は泣いた・・・(レベッカ『MOON』より)
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2018年6月28日 (木) 06時48分
自前の資源と軍隊がないと国益を護るのは難しそうです。せめて海洋資源の開発にもっととりくむべきと思います。
投稿: けんこう館 | 2018年6月28日 (木) 10時20分
けんこう館様
それも採掘が現実化しそうになったら中国が横やりを入れてきそうな気がします。
アメリカも、かな。
投稿: OKCHAN | 2018年6月28日 (木) 16時07分
shinzei様
長い間に構築された自由貿易の世界を推進してきたのはアメリカだったはずなのに、それを不公平だからという理由で壊そうとするトランプは、アメリカ自身を損なおうとしているように見えます。
それが現実化してしまえば壊れたものを元に戻そうとしても長い時間と忍耐が必要になってしまいます。
アメリカだけが一人勝ちして豊かにくらしていた時代を基準にして、他国が利益を上げたことをアメリカの富を奪ったと主張するトランプの傲慢さは時代錯誤以外の何者でもありません。
これからアメリカ国民、特にプアホワイトたちは一層貧しく救われないという辛惨を舐めることになるでしょう。
そしてそれがさらにトランプ以上の魔物を呼び出すことにならなければいいのですが。
投稿: OKCHAN | 2018年6月29日 (金) 08時40分