池上彰『知らないと恥をかく世界の大問題 9』(角川新書)
この題名の本もついに第9回にまでなったのかと思う。暇なときにそれぞれを読み比べても面白いかも知れないが、残念なことに読み終わるごとに処分しているので手元にない。世界の情勢について、政治、経済、民族問題、軍事などを総括的にまとめてくれているので重宝な本である。巻頭にはさらに現時点での世界の問題点をテーマ別に図示してあるので簡易的な参考書になる。
トランプの出現によって世界がいままでとどう変わってきているのか、これからどうなるのか考えるときの参考書になるのである。もちろんその他にもさまざまな変化が起こっている。それをどう捉えるかは自分の問題である。
巻末に「池上さんはどう考えるのですか。池上さんの言うことを信じます」と彼の番組の中で(たぶん)ひな壇の芸人が言った言葉に対して「それがいちばん危険なんですよ」とたしなめたことが紹介されている。人の考えを鵜呑みにして自分は考えないことこそ問題なのだと云いたかったのであろう。
考えるのも判断するのも自分である。そのための材料を簡単に手に入れられる時代だからと云って、他人の頭で考えてもらってはいけないのだが、私も含めてなかなかそれが解っている人は少ないようだ。つい誰かの受け売りをしてしまう。私はこう思う、という話はかまわないけれど、これはこう考えろ、そう考えるべきだ、などと断定的に言う人間は、だからちょっと敬遠しておく方が好いのだろう。注意はしているつもりなのだがどうか。
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