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2018年7月 2日 (月)

最下位

 イギリス・オックスフォード大学の研究所の調査によると、日本の有力新聞の中で朝日新聞の信頼度が最下位だったそうだ。興味深いのは調査対象になった人々の日常利用するニュースメディアのうち、新聞については朝日新聞が最も多いと答えていることだ。だから偏った調査であるとも思われない。

 もちろん与党自民党などが朝日新聞について批判的なことばを繰り返していることも影響しているのだろう。とはいえ過去日本の世論に大きな影響力を及ぼしてきた朝日新聞の信頼が失われ始めていることがこの調査によって明らかになった。

 その朝日新聞の広報部は「調査の結果に特にコメントはないが、読者に信頼されるよう努めていく」とのみ語っているということだ。その調査結果はおかしい、と内心では思っていても、そういえないところがつらいところだ。

 いま長谷川煕『崩壊 朝日新聞』(改訂版)、望月衣塑子、マーティン・ファクラー『権力と新聞の大問題』、橘玲『朝日ぎらい』という本を読み始めたところだ。『崩壊 朝日新聞』のメインテーマはもちろん慰安婦問題誤報の顛末についての朝日新聞の対応批判である。著者は朝日新聞の元記者であり、この本を書くために朝日新聞を辞めた。内部の人たちについての詳しい取材、慰安婦報道からその報道批判の紹介、そしてそれに対して朝日新聞がどう答えたかあるいは無視したか、いったい慰安婦報道の根拠になった吉田証言を朝日新聞として韓国におもむき裏付け調査をしたのかしなかったのかが克明に綴られている。よく知られているように、吉田証言の裏付けを三十年間朝日新聞は一度もとっていないのである。いや、とろうとしなかったのである。

 権力の監視をするのがマスコミの役割だとすれば、その信頼度が低下することがどういうことか最も分かっているのが朝日新聞だろう。決まり文句でいえば、信頼を得るには長い時間と実績の積み上げが必要であり、お粗末なことをすれば信頼を失うのはあっという間である。

 信頼回復のためには信頼を失うに至った失敗を正面から見つめて反省しなければならないと思うのだが、どうも他者の謀略によって信頼が意図的に損なわれている、という認識でいるのではないかと勘ぐりたくなる反応がしばしば伝えられている。

 自らのまいた種で信頼を損なった新聞社がいくら権力を批判したところで、権力は痛痒を感じない。結果的に権力を利することになっていることを朝日新聞は自覚しているのだろうか。私などは安倍政権がこれほど安泰なのは、昔の社会党が自民党の安定に寄与してきたように、朝日新聞のお蔭ではないかなどと思い始めている。

 父が朝日新聞の愛読者で、私も朝日新聞で世の中のことを知り、成長してきた。その朝日新聞のお蔭で文化大革命やさまざまなことについて考えるようになった。書いてあることに首をかしげる記事を見て、初めて自分でそのことを調べさまざまな本を読んで考えることを教えてくれたのは朝日新聞である。だから朝日新聞には愛憎なかばするものがある。そんな人はずいぶん多いことだろう。

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コメント

同じような報道の調査結果で今日のblogに書こうとしたことがありますが、ここでの話題は「信頼度」、わたしが問題にしたのは「自由度」でした。それによると、

<日本の報道の「自由度」は台湾(42位)、韓国(43位)より低い67位。これはマスコミと権力の近さを意味するのだと理解できる。ちなみに中国は176位で下から5番目で北朝鮮は最下位の180位。当然だがこうした国では権力とマスコミは一体化している>  
http://ecodb.net/ranking/pfi.html
https://rsf.org/en/ranking

「信頼度」は受け取る側が注意深く情報源を複数入手すれば選別可能だと思いますが、「自由度」が損なわれれば受け取る側には選択肢がなくなる点が怖いですね。

Hiroshi様
その調査の話も読んだことがあります。
その要因のひとつに日本の記者クラブの問題があるという解説も読みました。
自力での取材よりも当局の発表を頼りに記事を書くという体質が権力との癒着、情報の垂れ流しになっていることは以前から問題になっていました。
海外記者はこの記者クラブから閉め出されていますから、当然日本の報道の自由度の評価は低くなるでしょうね。
ある面で信頼度と自由度は無関係ではないということではないでしょうか。

おはようございます
朝日のこの体たらくは同紙がついてきた嘘のせいでしょう。
古くは日本共産党を追われた伊藤律の架空会見に始まり、サンゴ礁事件のでっち上げ、そしてさらには「二つの吉田」事例などです。
これはよく私が言うことなのですが「反日的な記事はいくらでも書いてもいい。それが言論の自由だからだ。しかし嘘をつくのはジャーナリズム以前の問題だ」です。朝日はもはやジャーナリズムとしては荒廃しているとしか言いようがありません・・・。
では、
shinzei拝

shinzei様
ご指摘の過去の罪障については長谷川煕『崩壊 朝日新聞』に詳述されています。
本に書かれているとおりだとすると、責任をとるべき人が必ずしも責任をとらず、それを助長するような人が生き残っていったという信じられない社内体制があったようです。
それにしてもこれだけのことをしながら生き残ってこれたのは、「正義」の看板のご威光なのでしょう。
谷沢永一の『正義の味方の嘘八百』という本を思い出します。
もちろん本来の正義を否定するつもりは毛頭ありませんが、こんなことを言うとかならず噛みつく人が出てくるのはそのご威光のゆえでしよう。

社説などに『もしこれが事実なら・・・』という書き方をしてるときがあります。
事実かどうか調べるのがジャーナリストなのに変なことを書いてます。

けんこう館様
私が気をつけているのは、「~はなぜ~なのか」ということばです。
たとえば、「日本軍はなぜ朝鮮の女性を慰安婦として強制連行したのか」のたぐいです。
この設問にはすでに慰安婦が日本軍に強制連行されたということが検証なしに事実として前提されています。
気をつけていると、さまざまなところでさまざまな事柄が、このようなかたちで人々に知らず知らずに刷り込まれていることが分かります。
だいたいそういう書き方をしている文章は信用できないものとまず考えることにしています。
逆にそれを意識的に利用することもないではないのですが、自分で書いて自分で気持ちが悪くなります。

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