吾妻小富士
ずいぶん久しぶりに吾妻スカイラインを走った。学生時代(大昔)、大学の寮にバイクツーリングのグルーブがあって、私は写真班としてときどき同行させてもらった。私はバイクに乗れないので、いちばん大きめのバイクに乗る先輩の後ろに乗せてもらうのである。
その先輩のバイクでも吾妻スカイラインの急坂を、私を後ろに乗せて登るのは大変らしく、ほかのバイクに遅れがちになる。先輩は舌打ちしてから「おりろ」などと怒鳴ったが、そんなところで下ろされてはかなわない。むかしから私は大きくて重かったのだ。先輩のことばはもちろん冗談だが、なつかしい思い出である。白黒で写真を撮り、それを自分で現像し、寮のボロ引き伸ばし機で焼いた。その写真をスクラップブックに貼り、キャプションをつけて寮で回覧した。そのスクラップはいまでも私のなつかしい宝物として残されている。
吾妻小富士前で休憩。私だけ吾妻小富士に登る。
それほど急な階段ではないが、石がゴロゴロしているのでとても歩きにくい。ここは二三度登っているので、一気に登れることは分かっている。
上から見下ろす。高いところはとても気持ちが好い。ほかの二人はちゃんと登っているかどうか下で見ていたそうだ。私は目立つのでどこにいるかよく分かったと言っていた。
吾妻小富士の火口の淵に立ち、噴火口をのぞきこむ。きれいな形をしている。周囲をぐるりと回れるけれど、今回は勘弁してやった。
吾妻の山々の一部が見える。
いまも活発に噴気をあげているところもある。直射日光は暑いが、山頂は涼しい風が吹いていて快適だ。その風に硫化水素の臭気が混じる。
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