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2018年7月30日 (月)

麻宮(まみや)ゆり子『碧と花電車の街』(双葉社)

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 名古屋を知らない人でも楽しめると思うが、名古屋の大須界隈を知る人ならこの本は格別楽しめるだろう。私は東京なら浅草が大好きである。いまでも年に一度は行く。そして大須界隈は名古屋にあって、まさに小型の浅草界隈であり、以前はほとんど月に一度はうろついた。浅草に浅草寺があり、仲見世があるように、大須には大須観音があり、万松寺通りがあり、大須観音通りがあり、仁王門通りがあり、さらにアメ横まであるのである。レトロさと猥雑さと人混みとが人なつっこく、妙になつかしい場所で、ウロウロしたくなるのである。

 この物語では昭和20年生まれの主人公の少女・碧が、13歳~18歳の多感な時期に大須の街に暮らして体験するさまざまなことが記されている。それは彼女と彼女の回りの大人たちの話であると同時に、その時代の世相をリアルタイムに語っているのである。まさに急激に変化しつつあったその時代は、私にとってもなつかしいものである。あの映画『三丁目の夕陽』の舞台が名古屋の大須であると言えば分かりやすいだろうか。

 彼女とある人との別れの場面では、不覚にも涙があふれてとまらなかった。正直言って文章になじむのに最初は少し手間取った。しかし描かれている世界にはまり込むといままでになく集中した。この本を読んだら同じところであなたも泣くと思う。読み終わってみれば読んでよかったなあと思う本であった。

 エピローグでは大人になった彼女が登場する。なつかしい人たちとの再会が我がことのように嬉しい。そして彼女の成長を心から喜ぶ人たちに親近感を覚える。こんなふうに成長できた彼女は本当に幸せ者であるが、よく考えると昔はこれが当たり前だったような気がする。

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