山崎明『マツダがBMWを超える日』(講談社+α新書)
「プレミアムブランドとはなにか」がこの本のテーマである。私もいわゆるブランドとプレミアムブランドの違いを分かっているようで分かっていなかった。
プレミアムブランドの確立には持続する統一した戦略が必要であり、それが企業の利益を生み出すものであることが詳細に語られている。そしてレクサスなどでそれを目指しながら、日本の企業はドイツの企業に比べてどうしてあまりプレミアムブランドの確立に成功していないのか。そのことも解りやすく、しかし辛辣に解析されている。
車についての言及が多く、しかも高級車についての話が多いので、こちらに縁の無いものであり、少し読み進めるペースが上がらない。さらに時計についてもプレミアムブランドとしてあげられているのはこちらが一生手にすることのないものばかりだ。だからこそのプレミアムブランドであり、ブランドそのものが欲しい人を引きつける。
わけあってマツダに肩入れする気持がある(愛車はマツダのアテンザである)。だからこの表題に引かれて買った本なのだが、220頁あまりのこの本でマツダ、特にロードスター(息子の車はロードスターである)について語り出すのは180頁あたりを過ぎてからである。マツダについて書いてあるところに期待して最後まで読み、なんだか縁の無い車や時計の車名や商品名を飛ばし読みしたが、私のザル頭でもいささか日本の企業の行き方に問題があることに気がつかされた。
安くてよいものを大量に作って売ろうとしても、もう中国などに勝てないことが明白なのである。そのときに企業がどう方向を転換するべきかのヒントがここには書かれている。経営者こそこの本を読む必要があると思うけれど、この表題でどれほどの経営者がこの本を目にして手に取ることになるだろうか。読んで無駄にはならないと思うのだが・・・。
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おはようございます
先日は私の拙いブログを見ていただきありがとうございます。
確かに日本車は高級感とは無縁で、このまま安さだけを売りにしては中韓に追い越されるでしょう。
私が常日頃思っているのですが、何も自動車会社が自動車だけしか作ってはならない、というルールはないので、これから必要になるだろう高齢者や障碍者用のプロテクターなどを研究開発をし、売り出してもいいでしょう。むしろ将来の高齢化社会や人口減少を考えればこういったものを開発製作することもいいかと思います。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2018年8月 2日 (木) 06時57分
shinzei様
電気自動車が主流になると、既存のメーカーの業界地図もずいぶん変わると云われています。
リスク分散はすでにいろいろ検討されていることでしょう。
この本ではブランドと収益についての考え方をもっと深化させていくべきだと書いています。
良いものを安く売れば必ず勝てるという考え方では、良いものがすぐまねされてしまう現代では利益を上げるのが難しくなっているということのようです。
人はすでにものを持ちすぎるくらい持っていますから、持つよろこびを感じられるものしか買いません。
そのよろこびこそブランドだということなのでしょう。
投稿: OKCHAN | 2018年8月 2日 (木) 07時44分