内々の約束があってのことか?
ボルトン大統領補佐官というひとはトランプ大統領と同様変な人のようである。変な人というのは、常識のあまり通用しない、ふつうの人とは違う価値観のひとという意味で、頭が変な人という意味ではない。変なひとどおしはときにとても相性が良いようで、トランプは金正恩やプーチンを優れたひとだと褒めたりしているし、当然ボルトンを自分の片腕として評価しているようだ。
そのボルトンが、韓国の文在寅からアメリカに報告された朝鮮半島南北会談の内容を暴露した。金正恩が、北朝鮮は一年以内に核放棄することを明言したというのだ。もし本当にそうならめでたいことである。しかし、春に明言したならすでに具体的な核放棄の動きが進んでいなければおかしい。おかしいからボルトンは北朝鮮と韓国にプレッシャーをかけるつもりでこの話を暴露したのだろうと想像できる。南北が仲良くするのはけっこうだが、まずするべきことがあるだろうと言いたいのであろう。
そのことに直接日本は関係が無い。問題は文在寅が金正恩に言ったというもう一つのことだ。北朝鮮が核放棄すれば、「日本と韓国が援助するから」という言葉である。文在寅が韓国大統領として韓国が北朝鮮を援助すると約束することは出来る。しかし日本が北朝鮮を援助する、と約束することは文在寅には出来ない。文在寅は日本の大統領ではない。日本の金は日本国民のもので、韓国大統領のものではない。
それなら日本政府の誰か、たとえば安倍首相は文在寅に援助の金を出す、そのことは北朝鮮に伝えてもいいと言ったのか。そうであってもそうでなくても大問題のはずである。
野党もマスコミもこぞってこの部分を問題視しなければならないと思うが、全くそれを取りあげる様子がない。これは援助すべきかどうかの問題ではない。日本の国の援助を他国の元首が勝手に約束することがどれほど異常なことが、どうして問題にならないのだろう。韓国もアメリカも、日本が援助するのは当然と考えているから、なんの問題も無いと思っているのはともかく、日本のマスコミも野党も、当然国民もそれを聞き流している。
政府や与党が聞き流しているのは、実はこっそりと約束してあることだからかも知れない。文在寅はそれを問われたら「約束ではない、可能性の問題で、自分は日本にそれを働きかけて援助させることが出来るのだ」と平然と答えるであろう。日本なんてチョロいのである。
もちろんこれはボルトンの伝聞についての話であるから、都合が悪くなればトランプをまねして「勘違いした」と言うだろうし、文在寅も「そんなことは言っていない」と言って終わりになることもあり得る。それでも少なくともあの言葉に、多くの日本人が「ええーっ!」と言って欲しかった。
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