釣り魚を食べる(1)
釣り道具を処分するに際して釣りの楽しかったことを思い出している。私にとって、釣りの楽しみは釣り上げるよろこびと、それを食べるよろこびだ。私の釣りは食べるための釣りだ。子どもたちがいたときは特に食べさせるよろこびも大きかった。釣りをあまりしなくなったのは、子どもたちがそれぞれ独り立ちして家を出たので自分しか食べないから、釣って帰るよろこびが半減したからかも知れない。何しろたくさん釣ってもしようがないのだ。
思い出すままに釣り魚の話をしていく。まずグレ(メジナ)。
防波堤の釣りだから小さな型も釣れるが、掌(てのひら)サイズに満たないものは基本的にリリースする。釣り針で特に傷ついてしまったものは仕方がないから小さくても成仏(つまり食べさせてもらう)してもらう。釣って帰ったら内臓を取り除き、まず塩で表面のぬめりを取る。一度ではぬめりは取れないので、二度三度と濃い塩水で洗う。ウロコは引かない。これがポイントである。
表面に塩を再度振ってウロコ付きのまま塩焼きをする。魚を焼くときは餅を焼くようにひっくり返してはいけない。とにかく良く焼けるまで決して返さないのが肝心である。ひっくり返したら上側の焼けている面の皮をウロコごと剥がすと、面白いようにペロリと剥ける。そこにちょっとだけ醤油を垂らして食す。まだ片面は焼いている最中であるがそれで好いのだ。
グレは磯臭いなどというが、ぬめりさえきちんと取ってこうして焼いて熱々の身を食べればまことに美味しい。だから私はボンベの卓上コンロの上で焼く。もちろん酒を飲みながらである。
ついでだが、甘エビ(国内産は高いからグリーンランド産あたり)が手に入れば、身はもちろん生で食べるけれど、塩を用意しておいて頭と尻尾はコンロの上であぶる。子供など、身よりも頭のうまく焼けたものの方が香ばしくて美味しいなどというほど美味しい。
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