まさかの中国製
「ニューサイトしらべぇ」が東京オリンピックの公式Tシャツが、日本製でなくまさかの中国製だったと報じた。さらにピンバッジの中国製だったという。ただ、同時に調べたタオルやネットストラップは日本製だったらしい。
記事はせっかく日本で開催されるのだから出来れば国産で統一して欲しかったが、さまざまな事情があるのだろうと結んでいる。ただ中国製であるから批判するというばかりでないところが救いだ。
ピンバッジについてはよく知らないが、Tシャツについては日本で大量に生産するのは困難なのであろうとは想像できる。北陸の合成繊維製品を除けば、日本国内の繊維産業はすでにほとんど壊滅的な状況である。Tシャツなら綿かT/C(綿とポリエステル)素材であろう。
戦後日本が経済的に復興を成し遂げ、アメリカへの製品の輸出が急増した。1970年前後、アメリカはその時点での主要輸入品だった繊維製品について日本に対して強硬な規制を打ち出し、政府間で交渉の結果日本が大幅に譲歩し、自主規制を余儀なくされた。それは名目上アメリカの繊維産業を護るということだったが、そういう保護で産業が護られた例しはない。逆にこのことで日本の繊維産業は衰退の道を歩むことになった。
その10年後、今度はアメリカは自動車を中心に官民あげて日本製品排斥を行った。日本は大幅に譲歩させられたことはある年齢以上の人なら記憶されているだろう。その前例の成功の記憶こそトランプの貿易摩擦発動の原点ではないかと思う。
日米繊維交渉で、特に綿製品の五年間の輸出停止に追い込まれた後、アメリカの繊維製品はアメリカ製に戻ったのか。そんなことはなくて、韓国や中国が日本のかわりに輸出しただけである。産業保護を名目にしているが、アメリカは日本の急成長が面白くないから叩いただけに見える。今回の米中貿易戦争もそういうことだろう。だから中国が日本のように妥協譲歩しない限り終わりはない。そして面子を重んじる中国が譲ることは考えにくい。下手な譲り方をしたら政権が批判されてしまう。よほどのマイナスが生じて、国民あげて譲歩して欲しいという機運が生じない限り習近平も譲れない。
すでに五十年前から日本の繊維産業は衰退への道をたどった。人件費の比率の高い産業であるために、繊維産業は先進国からつぎつぎに後進国にその座を譲っていくというのは歴史的な流れではあるものの、日本の場合はそれ以上の外的要因があった。日本政府は日本の繊維産業を見捨てたのである。だから時代の趨勢としての衰退ならまだダメージはゆるやかだっただろうに、対処が困難な急激な衰退は多くの会社を苦しめることになった。
過去日本を支えた綿紡績会社はほとんど国内の工場を閉鎖した。繊維産業は裾野の広い産業である。紡績、製織、編み立て、染色、加工、縫製の行程に関わる会社もほとんどが廃業・倒産に追い込まれた。産地そのものが消滅してしまったのである。いま、すべて日本製の天然繊維の繊維製品など、極めて限られているし高価であるのは当然である。家内工業製品みたいなものなのである。
東京オリンピックの公式Tシャツが国産ではないことをもし問題視するのなら、日本の繊維産業の歴史を多少は知った上で批判して欲しい。奉職中、繊維産業の生産工場を得意先としていたので、その衰退を目の当たりにしてきたのでこんなことを書いた。
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紡績工場のあった場所は、スーパー・病院などまとまった土地が必要な施設に変わってます。
私のまわりにも繊維関係の自営業の人が多くいましたが急に少なくなってしまったというイメージがあります。
投稿: けんこう館 | 2018年9月12日 (水) 09時28分
けんこう館様
時代の趨勢で衰退は必然だったのかも知れませんが、それ以上のアメリカによる強引な圧力があったことも忘れません。
世の中はきれいごとだけではないことを思い知らされました。
いまもまさにそういう世界です。
投稿: OKCHAN | 2018年9月12日 (水) 10時26分