事実を知らなすぎることはときに不利益を招く
事実を知らなすぎることはときに不利益を招く。このことは経験上明らかなことだ。そして誰だって不利益を蒙ることは避けたいはずなのに、事実を知る努力を怠って事実を知らないまま無知でいることに何の自覚もない人の多いことに驚く。
そんなこと教えてもらわなかった、などと平然という。教えられても聞いていなかったり、そもそも知ろうとする気もなかった人ほどそう言う。そう言う自分自身だってかなり危ういが、それなりに知ろうと努めているつもりだ。
同じことを知り、それについての意見が正反対になることがあるが、少なくとも知ろうと努めた上での意見には耳を傾けることができるし、時にはその影響も受けて自分の意見を修正することもある。やりきれないのはひとの意見を鵜呑みにして一方的感情的に語る人々だ。こういう人は反対意見に耳を貸そうとしない。実は正しいことを言っていたとしても賛同を得ることが却って難しくなる。
これが政治的なことや外交のことになると特に甚だしい。政治的なことや外交について、正義だけを基準において論じていると実は相手は正義など基準においてなどいないことが多い。交渉ごとでは正義は建前であって、目的は自分の利益の確保であり、相手の譲歩の引き出しである。互いがその目的でとことん主張し合って、最後の妥協の上に成り立つのが条約というものだろう。
だから条約は互いにとって不満なものとなるのは当たり前である。条約はそれでも互いに守る、という前提のもとに成立する。正義に反するからという理由でその条約を守らない、ということは条約を破棄するということに等しい。
その条約の文言と主旨を多少は理解していまの事態を考えて欲しいと思うけれど、どうもそのような人は少数のように見える。マスコミも珍しく今回の判決に批判的な論調のようだが、あらためて日韓請求権協定という条約の内容の解説をしてみなに知らせる努力をして欲しいものだ。あわせて日本政府はそれを世界の国々にきちんと伝える努力をして欲しい。
韓国の文在寅大統領政権はいまだに大法院(韓国の最高裁)の賠償判決に対しての判断も行動も見せていない。もしかしたら日本が何らかの行動を起こすべきだ、などと思っているのだろうか。それとも様子を窺って韓国国内の盛り上がりや意見統一を見た上でそれに乗ろうとしているのか。そもそもこんなことは些事であるからなにも考えていないという見方もある。北朝鮮のことで頭がいっぱいなのだそうである。
彼にとっては日本が困ることが快感なのかと勘ぐりたくなるが、困るのは韓国の方だと思ってもらうにはどうしたらいいのだろう。それにしても日本側にも感情的で相手の思うツボみたいな反応をする人々も見受けられる。反対に、正義の立場から今回の判決を履行せよという日本共産党のような主張もある。まことにご立派なことである。誰が何を言うのか、よくよく聞いておく必要がありそうだ。その意見が政治家やメディアのリトマス試験紙になりそうだ。
追記
けんこう館様のコメントで共産党が判決を履行すべしといったのか、というご質問がありました。直接聞いた話ではなく、記事のなかで読んだことなので心配になり、志位さんのホームページからそれに関連する部分を読みましたので、引用して主旨をご判断戴きたいと思います。
1965年の日韓請求権協定では両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決」されたと述べているが、「被害者個人の請求権は消滅していない」ということは、日本の政府と最高裁、韓国の政府と大法院の4者が一致して認めているとして、「日韓両国政府、該当企業は、この一致点にもとづいて真剣な話し合いを行い、前向きの解決のために努力すべきです」と述べました。
これを共産党が今回の判決を履行せよといったことになるか微妙なところですが、私から見てそう取れるものに見えます。なにしろ個人の請求権は消滅していないというのですから賠償判決は正当であり、その解決とは判決を履行することであると受け取れますからね。
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