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2019年2月 4日 (月)

映画『プライム・ターゲット』2016年ベルギー

監督エリク・ヴァン・ローイ、出演ケーン・デ・ボーウ、サスキア・リーヴス、アダム・ゴトリーほか

 ベルギー映画というのは珍しい。以前にも観たことがあるのかもしれないが記憶にない。しかしながらこの映画はイギリス映画的なテイストで悪くなかった。

 ヨーロッパ歴訪の途次、アメリカ大統領がベルギーを訪れるという朝、それを迎えるベルギー首相の邸宅が襲われる。妻と娘を人質に取られたベルギー首相は、アメリカ大統領を暗殺することを強要される。

 誘拐の事実を知られたり通報したら即座に妻子は殺されてしまう。孤独で絶望的な首相の葛藤と戦いが始まる。首相の身の廻りでひとりまたひとりと犠牲者が発生する。首相に張り付いた犯人たちによるものである。しかし首相が危惧するように、アメリカ大統領を暗殺することなど可能なのだろうか。そもそも必ず齟齬は生ずるものであるし、それに対するアメリカ側の対処は万全なはずなのである。

 巧妙に仕組まれた暗殺への手順に従いながら、ついにそのときがやってくる。そしてそのときベルギー首相はどのような行動をとったのか。そして妻子は無事に保護されるのか。

 後半の行き詰まる危機的状況の連続、そしてさらに不可解な事態、背景にある恐るべき陰謀、とにかく事態の進展がリアルでありながら、首をかしげる破綻もなく出来が良くて面白い。

 どんな映画を観ても面白い、とかお薦め、とか書いているわけではないのである。だめな映画もたくさん観ているのである。たとえばちょっとひねったヴァンパイア映画『デイブレーカー』などは、せっかくイーサン・ホークが主演しているのに、ストーリーがわかりにくいし、根本的な疑問が拭いきれないために楽しめなかった。生煮えである。

 また『インファナル・バイス』というクライムアクション映画も、当然暴力シーン満載であるのはストーリー上しかたがないが、なんだか二番煎じ的なシーンが目立っていたし、少しも感情移入できなかった。なにしろ出だしのシーでの主人公の有能さと後半の主人公の鈍感さが同じ人間とは考えられないのである。

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