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2019年6月17日 (月)

仁木英之『師弟の祈り(旅路の果てに)』(新潮社)

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 中国唐の時代、若きぐうたらな薬師・王弁が見かけは少女の仙人・僕僕先生と旅を続ける物語、『僕僕先生』シリーズの第11巻にして最終巻である。ファンタジー好きならこんな面白い物語を見逃すのはもったいない。

 

 一番美味しいもの、一番好きなものは最後にとっておく。とって置いて惜しさが増していつまでもそのままにしてしまう。ちょうど一年前に出たこの本も、そうして棚に並べたまま読まずにいた。今回ついに読了し、この物語を楽しむ旅は終わってしまった。

 

 次第にスケールが大きくなっていったこのシリーズの掉尾を飾るにふさわしく、最後は想像を遙かに超えたスケールで展開していく。いままでの旅の意味、そして僕僕が抱えるはるかな過去の壮大な戦いの記憶がよみがえる。残念ながら、それはこのシリーズを読み通さないとシンクロするのがとてもむつかしい。確か文庫にもなっているのではないか。是非是非読んで欲しい。

 

 神とはなにか、そのことを描いたSF小説がいくつかある。作者がそれを意図したわけではなくても私がそう読み取ったものもある。光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』、小松左京の『神への長い道』、E.E.スミスの『レンズマン』シリーズなどが思い浮かぶ。ほかにもたくさんある。この『僕僕先生』シリーズの最終巻であるこの本もその一つに加えようと思う。

 

 SF少年だったから、若いときから神とはなにかをSF的に考えてきた。そこからある自分なりの考えをまとめてあるのだが、それを語ると笑われる(その経験もある)のでひそかに心に秘めている。哲学の本や宗教に関する本を読んでいると、そこに隠喩や暗喩のかたちで私の考えに近いものをほのめかしたものに出会うことが何度かあった。多分直接的にいうのをはばかっているので、根底は同じイメージを考えていると確信している。

 

 この本のラストシーンにそのことが現れていてとても感動した。
ポチッとよろしく!

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