年金について(前回の続き)
「年金が破綻する」などと安易に口にする人がいる。年金を払う人がいる限り年金制度は破綻しない。払う人が減ればもらえる年金が減っていくだけである。このままだと年金は破綻するから年金を払わない方が良いかの如く眉をひそめてみせることで不安をあおれば払う人がいなくなり、そのとき年金制度は破綻する。つまり「年金は破綻する」という人は、年金を破綻させようと呪いの言葉を吐いているのである。その自覚はあるか。
産経とFNNが合同世論調査したら、これまで(老後には二千万円不足するという報告書が公表される前)に「老後は年金だけで暮らせると思っていたか」、という質問にたいして「思っていなかった」という回答が84.2%だったそうである。もともと大部分の国民は年金だけで暮らせるなどと考えていなかったのである。それはそうだろう。それがまともなひとであると思う。
それを「国民の信頼を裏切った」と喚いて見せている野党の面々は、国民の代わりに「二千万円不足する」という報告書に仰天して見せた。そして国民が、野党の議員たちが国民の代わりに仰天したことそのことにびっくりしているのを見て、あわてて、報告書はよく読んで今後検討すべきである、として矛先を報告書を受け取らない麻生財務大臣に向けた。麻生大臣もうろたえてバカな反応をしたものだ。
野党は風向きを読むことだけには知恵が回るようである。なにしろ年金そのものを追求すると、一度でも政権を担ったことのある者は、自分たちにも後ろ暗いところがあることをよく知っている。消えた年金をどうしようもなくしてしまった責任の一端を握っているのだから。
責任のない共産党だけが夢のような理想論を語っている。彼等にとって年金などどうでも良いのだろう。なにしろ軍備を廃止すれば軍事費がふんだんに年金に回せるし、資本家のところにうなっている金を支払わせれば問題ないはずなのである。それで日本が中国や北朝鮮や、場合によってロシアの支配下に入れば、それらの国がちゃんと面倒をみてくれるから心配ないのだ。
そういえば、一昨日(だったと思うが)のプライムニュースで最低賃金の話をしていた。ちらりとしか見ていないので(なにしろあまり面白くない話題だった)勘違いがあるかも知れないが、日本の最低賃金を現在の目標である時給千円からさらに千五百円を目指すらしい。けっこうなことである。ただ、時給を払うのはそれを提言している野党の議員ではない。最低賃金は大企業の時給ではないだろう。経営の苦しい中小企業の時給と想像される。だから仕方なく最低なのである。それを無理に引き揚げるとどうなるか、お隣の韓国で大々的な社会実験をしている。中小企業がつぶれ、雇用が歴然と減少している。
社会全体が底上げしなければ最低賃金、最低時給は上がらないものである。さらに怖ろしいのは、社会がそのことで疲弊しても、一度上がってしまった最低賃金は、今度はなかなか下がらないということである。経営が悪化しても賃金が高いままなら雇用を減らすしかなく、従業員が減れば経営は維持できない。経済は衰退してしまう。
いま韓国への海外からの投資が減りだしているが、それ以上に韓国の大企業の投資は国内に向かわずに海外に流れ出している。工場もどんどん海外へ移転している。そしていま、中小企業も東南アジアなどにどんどんと移転を開始しているという情報もある。生き残りのためには背に腹は代えられない。
その韓国を引き合いに出して時給千五百円の議員に問いただすと、「そういう提案を受けたので受けとめた」だけであると言い訳していた。受けとめただけなのか。それならしようがないなあ。それでは笑うしかないではないか。
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