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2019年6月21日 (金)

山本夏彦『茶の間の正義』(中公文庫)

 読みかけの本がいろいろあるのに、つい寝床でなじみの山本夏彦を読んでしまう。その文章のリズムが心地よく、一つひとつが長くないので就寝前に読むのに最適である。この本も読むのは何度目だろう。もともとは昭和42年に単行本で出たものが昭和54年に文庫化された。どちらにしてもずいぶん古いのだが、書かれている中身は時代を超えている。普遍性があるなどと云ったら翁も苦笑いするだろう。

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 山本夏彦の文体とその文章のリズムは私が模範としたいところだが、レベルが違いすぎる。烏が鷺を真似ても詮ないことである。

 

 その精神の根底に翁のニヒリズムがあることは、彼の本を愛読している人なら分かるはずだ。彼は人間に深く絶望している。そのままでは生きられないところを乗り越えて、雑誌編集者として市井に生きている。彼は諧謔とレトリックを駆使して自分の思いを吐露する。時にまったく相反することを並べたてて読む人を混乱させる。事実は実はそのようなものであって、一面だけを見ては過つ。そのことを伝えようとしているが、分かる人には瞬時に分かり、分からない人には皆目わからない。

 

 彼は自分を他人の目で見ることが出来る。誰にも出来るように思われるだろうが、山本夏彦のように全くの他人になりきって自分を見ることは難しい。自分を他人として見られるのだから、他人を自分としてみることも出来る。時空を超えて、年齢を超えて、男女を超えてそれが出来るとうそぶく彼だが、それが出来るとしたら、彼が本当に自分を他人として見ることが出来ているからかも知れない。

 

 この本から抜き出して紹介したい部分が山のようにあって、付箋をつけ出すとキリがない。選ぶのに窮したので今回は引用しない。
ポチッとよろしく!

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コメント

楽しく読ませてもらいました
もし OKCHANさんのブログであらかじめ知識を得ていなければ
ほとんど理解できなかったでしょう
また間を空けて読もうと思います

イッペイ様
山本夏彦のファンが一人でも増えたことを大いに喜ぶとともに、彼の文章を受けとめられる人がいることをうれしく思います。

「今晩は」
相手の立場になって、第三者となって、お天道様の立場になって・・・。
行き着くところは 自分のわがままを押し通そうとする。
皆さん、それは分かると言いつつ、意見は変えない。
諸行は無常にも変わる。
変化には変化で応じる、言うは易し、行い難し。
修行していないのかも、そう考えると つじつまが合う。

アットマン様
もしお時間があればこの本を読んで戴くとありがたいのですが。
アットマン様が受け取られたのとは多分違うことが書かれているはずですから。

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