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2020年1月28日 (火)

呉智英『吉本隆明という「共同幻想」』(ちくま文庫)

 後半になってようやくこの本を読んだことがあるのをおぼろげに思いだした。 文庫(2016年刊)ではなく単行本(2012年刊)で読んだのだ。道理でスイスイ読めたはずである。

 

 この本が吉本隆明をこき下ろした本であることは後半になると一層はっきりする。意味不明の造語癖をもって精神的に問題ありとまで言い、吉本隆明の本は一冊も読むに価するものがないというのだから、ほとんどボロカスである。まあそのきらいがないことはないと思う。そういえば大昔友達に借りて読みかけたのは『共同幻想論』という本であった。ちんぷんかんぷんで何ページか読んですぐに返した。

 

 それなのにいまごろになって生まれて初めて吉本隆明の本、『宮沢賢治の世界』(筑摩選書)を購入したのである。放り出さずに最後まで読めるであろうか。私は少なくとも吉本隆明教の信者になる心配だけは無いはずである。何しろ理解出来ないのだから。いやいや理解出来ないから信者になることもあるか。とにかくいつものようにほかの本と並行しながらボチボチと読み進めてみることにする。

 

 この筑摩選書のうしろの、選書のほかの本のバックナンバーを見ていたら、『最後の吉本隆明』という勢古浩爾の本があった。吉本隆明の『最後の親鸞』という本をもとに吉本隆明の思想を追求した本なのだそうだ。いまだに追求する人もいるのだ。
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