高橋洋一『韓国、ウソの代償』(扶桑社新書)
副題は『沈みゆく隣人と日本の選択』。
表題や帯は如何にも嫌韓本の体裁である。扶桑社新書だからこのような体裁で売ろうとしているのであろう。もともと本格的な経済学者であり海外経験も豊富で、第一次安倍内閣ではブレーンのひとりでもあった著者であるから、妄想的扇情的なことを書いたりしない。ただしこの人は持論に絶対の確信を持っているので、右も左も情け容赦なくばっさり切り捨てる。それが痛快でもあるがちょっと明快すぎる気もしている。
この本が発行されたのは昨年9月であり、主な内容は5月から8月にかけての日韓関係に関連したことなので、現在の新型コロナウイルスの影響は当然言及されていない。しかしここに書かれた状況が変化しているかと言えば更に悪化しただけで基本的なものは同じである。
この本を読んでよかったところは、いわゆる俗論を切って捨てているところで、その俗論を正しいと思っていたところもあった。ただし、俗論とばかりは言えないのではないかと思うものもある。
俗論として取りあげたものは全部で14件、そのうちのいくつかをあげれば
○韓国の財政は破綻寸前である
韓国の財政は意外と悪くないので破綻する可能性は日本(5年以内に破綻する可能性は1%程度)の二倍程度と試算している。理由は本を読んで欲しい。
○韓国の人口減少は今後日本より急激となるので、それが原因で韓国は経済崩壊する
人口減少は経済破綻の原因とならない。破綻するなら政権の愚策による。
○日本が韓国への資本財の輸出を制限すれば、韓国メーカーは生産が滞り、窮地に立たされる
それよりも中国に傾斜しすぎていることが原因で韓国は窮地に立つ。
○日韓スワップは韓国だけに利があり、日本には得るものが無いから締結すべきではない
実態はお金を貸すというだけのことで貸した金は踏み倒せないから、一方的にどちらかが得をするということはない。正しい間の日韓関係には信頼関係がないからスワップを結ぶのは無理であろう。(ちなみについ最近アメリカは韓国と半年の通貨スワップを結んだ。アメリカは韓国を強く紐付きにする戦略だという)
○造船業をはじめ韓国企業は赤字でも平気で受注を取りに行き、自ら破綻へ突き進んでいる
造船業はそもそも世界的に競争が激しくて赤字にならざるを得ない業種となっている.企業の存続のために無理な受注をする傾向があるから日本はすでに撤退をしつつある。韓国も同様だろう。いつまでも続けることは出来ないし意味がない。
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