映画寸評(7)
しばらく映画を観る気がしなくなっていたが、読書に続いて映画も観られるようになった。
『プレディスティネーション』2014年・オーストラリア
監督マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ、出演イーサン・ホーク、サラ・スヌークほか
こういう映画は好き嫌いが大きく分かれるだろう。私は大好きである。会話の量が膨大で、冒頭だけ銃撃シーンなどがあるが、ほとんどが会話シーンである。それでも緊張感が途切れないのは、イーサン・ホークとサラ・スヌークという俳優の演技力が優れているからだ。その会話のやりとりで語られる二人の男(こう言ってしまうとちょっとフェイク気味になるが・・・)の背景が明らかにされていく。
後半はパラドックスに満ちた展開で、それについて行くのは大変である。その大変さを楽しむか嫌気がさすかだが、こんな面白い映画はない。オーストラリア映画にはときどき大当たりがある。そういえば『マットマックス』もオーストラリア映画だった。ディスティネーションは目的地のこと。プレ、だからあらかじめ予定された目的地ということか。
『オフィサー・ダウン』2013年アメリカ
監督ブライアン・A・ミラー、出演スティーヴン・ドーフ、ジェームズ・ウッズほか
アル中で、裏社会にどっぷりはまってしまった悪徳刑事が、罠にはまって銃撃を受けてしまう。危うく殺されるところを誰かに助けられるのだが、傷を負っていて助けてくれたのが誰だか分からない。傷が癒えた後、それを機に酒を断ち、妻と娘とのまっとうな生活に戻る。
新たな殺人事件の捜査に奔走する彼の元に、じつは自分が助けたのだ、と言う男が現れる。そして彼からその男の娘の日記を託される。その日記によれば、彼女は刑事の関係していた裏社会に沈められ、麻薬中毒になり、ついには死に至ったようだ。刑事を助けた男は娘の報復を頼んできたのだ。
自分の過去、そして携わっている事件、さらに死んだ娘の日記に記された男の影、それらが次第に関連を帯びていき、ついに刑事は立ち上がるのだが・・・。そのあとどんでん返しがあり、さらに刑事が決死の報復をして・・・と二転三転する。なかなかひねりのきいた面白い映画だった。
『フローズン・グラウンド』2013年アメリカ
監督スコット・ウォーカー、出演ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザックほか
舞台はアラスカ、連続猟奇殺人事件を追う刑事がニコラス・ケイジ、犯人がジョン・キューザック。犯人はほとんど明らかなのに、巧妙で全く証拠を残さない犯人に警察は後手に回り翻弄される。そして次第にこの犯人の犯行件数は想像を超えて多数であったらしいことが分かってくる。
実話を元にしたもので、遺体が見つかった女性、行方不明のままの女性を併せると、十八人がこの犯人の餌食になったという。ジョン・キューザックの豹変する人格の演技が素晴らしい。彼はこういう役が本当に得意だなあ。
« 理解力不足 | トップページ | 森鴎外『興津彌五右衞門の遺書』 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『哭声/コクソン』(2024.10.13)
- 『ソラリス』(2024.10.10)
- 『雷桜』(2024.10.09)
- 『Dr.パルナサスの鏡』(2024.10.08)
- 前回に続いて(2024.10.04)
コメント