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2020年7月 2日 (木)

香港の状況に無力感を感じる

 心しなければならないことだけれど、自分が正しいという前提で行動すると周りが見えなくなり、ときに大きな迷惑をまき散らすことになる。外交専門家の意見を聞いていると、中国は確信犯として国際的に違法なことをしているのではなく、海外の影響の元に、間違った違法な行動をする香港の運動家たちを排除していくのは「正しい」ことだと本気で思っているらしい。つまり自分が悪いのではなく、自由主義、民主主義をうたい文句に中国に不法な介入をする「悪」の国々が悪いのだ、と本気で考えているのだという。

 

 これはまことに都合のいい考え方で、全て自分は正しく、悪い事態は全て他人のせいだということである。なんだか北朝鮮やそのお隣の韓国と極めてよく似ていて、笑ってしまう。人はそれほど愚かであり得るのか。

 

 そういう国とたいした関係がなければ、関係を持たなければいいことで、どうでもいい。ところがそういう、自分が「正しい」と確信している国が経済的に重要で、まさかここまでひどいことになるとは思いもせずに深く関わってきてしまった場合には、関係を急に断つわけにはいかない。自分の身に深く食い込んでしまったものをもぎ取るには激しい痛みを伴う傷を負うことになる。痛みをこらえながら少しずつじわじわと剥がすほかない。

 

 現在の日本の企業の経営者の多くが、世界観をあまり持たずに目先で判断する傾向がある、と言う悪口を聞いたことがある。何しろ素養がない。素養がないと理念を持つことができない。文化系の出身者が多く、科学的な知識に欠ける上、文化や歴史についても不勉強だというのだ。企業が社会的な存在であるという自覚がないと、目先の利益を追ううちに判断を過ち、ついには企業を衰退させていく。多くの経営者は成功体験を元にものを考える。成功したからのし上がることができたのだから当然だが、時代は過去のことを元に判断していては対処できなくなっているのだ。それはお役人も全く同様で、今回のコロナウイルスの対処のお粗末さに歴然と現れている。

 

 そんな為政者や経営者がじわじわと痛みをこらえながら事態に対処できるとはとても思えない。ゆでガエルのまま死んでいくことだろう。いつかは破綻するだろうとささやかれ続けてきた中国経済や韓国経済は、いま急に危機的状況になるとも思えない。そうなっても北朝鮮のように、全て悪いのは他人だ、と言い続けてしぶとく生き延びることだろう。

 

 私は偉そうに言うほどの人間ではないが、もう少しまともな為政者や経営者がいるはずだと信じていたのに、それが希望的な夢想だったらしいことに無力感を感じている。そしてほとんど絶望して諦めの気持ちになりつつある。
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