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2021年2月18日 (木)

数だけ多くても

 中学二年生の途中から、事情があって田舎の学校から千葉市内の中学校に転校した。千葉市内の母方の祖父母の家からの通学である。田舎の学校の図書館には読みたくなるような本はわずかしかなかった。千葉の中学校には、読む本が山のようにあって、手当たり次第に借りまくって読んだ。

 

 日本や海外の文学全集を片端から読んだ。もちろん読んで面白くなかったり、よくわからないものは目を通しただけである。卒業前に、図書館での貸し出し冊数が全校でトップになっていた。二年足らずの累計なのに、三年間在籍していただれよりも多かったのだ。しかしそのことがみなに知られたことは私を恥じ入らせた。読んだといえない読み方しかしていなかったことをだれよりも自分が承知していたからだ。

 

 ただ、図書館の本とは別に、そのころにミステリー好きの祖母の蔵書(江戸川乱歩や横溝正史や高木彬光など)も同時に読んでいたし、本好きの義理の叔母の世界文学全集も借りて読んだし、叔父の『徳川家康』(山岡荘八・二十数巻あった)なども全部読んでいたのだから、少なくはない。 

 

 たぶん高校受験の勉強をしなければならなかったから、それから逃避するために読書にのめり込んでいたような気がする。その頃読んだものは私の頭をほとんど素通りしたけれど、本を読む習慣だけは身につき、高校になってからは前以上に小説を読むようになった。ほとんど文学づいていた。『オール読物』や『小説現代』などの月刊誌を親に隠れて読み始めた。井上ひさし、野坂昭如、五木寛之がまだ新人で、その作品を雑誌でリアルタイムで読んでいた。

 

 1960年代の作家に思い入れがあって、いまその時代の評論が面白く読めているのは、たぶんそれを懐かしんでいるからだろう。

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コメント

やはりそうでしたか・・・子どものころからの”本の虫””読書家”だったのですね・・・
俺なんぞは、難しい本はとても手に取れませんし、読めないです。

でんでん大将様
むかしは歯ごたえのある本はほんの少しだけで、SFやミステリーや時代小説ばかり読んでいました。
歳とともに読むものの傾向が変わりました。
漫画があまり面白く感じられなくなった頃からでしょうか。
今は却って娯楽小説が読めなくなりました。
イメージする力が落ちたのかもしれません。

おはようございます
山岡荘八の『徳川家康』は、私も読ませていただきました。
実を言いますと、私の祖先は武田氏に仕えていて、武田氏滅亡後織田信長に追われていたのを徳川家康に”拾って”いただいたので、今でも徳川さんには足を向けて寝られません。
そう言えば司馬遼太郎の『覇王の家』を読んだ時、山岡荘八の家康の扱いの違いに困惑したことがあります。歴史というのは一つの見方はできない、というのをつくづく思い知らされました。
では、
shinzei拝

shinzei様
山岡荘八の「徳川家康」はテレビドラマ化もされましたね。
父の故郷は山形県最上郡ですが、その名前からルーツを調べると一部は武田氏につながるようです。
興味深いことに字(あざ)名が甲州といいます。
ところで小説はあくまで小説ですしね。

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