飛鳥寺
飛鳥寺の飛鳥大仏。ここは珍しく自由に写真撮影が許されている。
飛鳥寺は蘇我馬子の発願で建立された。五重塔を中心として回廊に囲まれた一塔三金堂(この様式は極めて特殊で、日本ではここだけ、中国と韓国に痕跡の残る寺があるらしい。私には聖徳太子の建てた大阪の四天王寺がよく似た様式に思えるが、あそこは二金堂である)の大伽藍だったが、鎌倉時代にほとんど焼失した。現在の飛鳥寺は江戸時代に建て直されたもの。塔も金堂もない小さな寺になってしまった。
本尊はこの釈迦如来。法隆寺の仏像たちと同様、鞍作鳥(くらつくりのとり)の作で、顔立ちも似ている。ライトの加減で輝いて見えるが、実際はほぼ黒い。銅に金を加えた銅像。公は推定で30キロ使われたという。もともとは立派な光背もあり、高い台座にましましていたが、本体だけが辛うじて残った。奈良時代には光背とともに光り輝いていたという。
こちらの方がほんもののイメージに近い。鞍作鳥は帰化渡来人の孫で、個人というより渡来人の持ち込んだ技術を持つ技術集団の代表ということではないだろうか。当時は天変地異や疫病が流行し、仏教を支持する蘇我氏と排斥しようとする物部氏との争いが激しかった。その好きに勢力を伸ばしたのが藤原氏だ、というのが梅原猛の説である。現代も天変地異や疫病が流行しているが、何に頼るか、日本人は迷いの中にいるように思える。ときにはこのような仏像を静かに眺めて無心になるのも好いのではないか。
これが飛鳥寺の表門。駐車場があり、バス停もこちら側にある。バスで来るときは橿原神宮前から乗ると良い。帰りはそうしたが、その前にもう一カ所だけ足をのばしてみた。
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