流通革命
生産者と消費者の間には、流通をになう業者が存在する。商社や販売店、そして運送業者などだ。商社や販売店は、生産者と消費者のベストマッチングのために存在し、それぞれが利益が最大になるようにする役割を担うことになっている。
私もメーカーの営業という仕事をしていて、ユーザーとの間に商社が介在する世界を体験してきた。商社のもうひとつ重要な役割に与信管理がある。直販にはリスクがあることが多いので、商社がそれを引き受けることになる。そのことから、しばしば商社の営業員のなかにはメーカーもユーザーも下に見るという勘違いをする者がいた。存在意味を見失った商社や販売店は、ただマージンをかすめ取る不必要な存在に成り下がる。
ものの見える上司がいて、命じられて私はルート整理、ルー短縮の仕事をしたことがある。マージンの見直しはもちろん、不要な代理店をカットしたり、ルート変更を強行したのだ。とうぜんそのためのリスクを生ずるからそれも対処しなければならない。凄まれたり、小さな代理店の高齢の経営者に恨まれたりした。世のなかがみんな仲良く甘い汁を吸いながら、なおかつ懐が温かいというわけにはいかない時代に変わっていることに気がつかない者は淘汰されるしかない時代だったのに、それがわからない人、放置している人のいかに多かったことか。
商社の存在を全否定する人もいるが、それは世のなかの仕組みが理解できない人で、私は商社の存在意味を大いに肯定する者である。ただ、その社会的役割をきちんとわきまえているかどうかと言う本質的な話をいま書いている。
ネット社会が一般化することで、必要な流通経費と、減らすことの出来る流通経費が顕在化した。生産者と消費者が互いに見えるようになってきたから、社会的役割を担っていない流通業者はますます淘汰され、逆にその役割をわきまえた商社はますます必要な存在になっていくだろう。どんな世界にも情報を持ちながら、異業種のコーディネーターとしての商社の役割は欠かせないのだ。
流通革命というと、すぐ流通に介在する商社を存在悪と見てしまう人もいるけれど、そうではないということを言いたくてこのブログを書いたが、うまくまとまらなかった。革命というと、過剰な淘汰が起こるということになるのだろう。地方の商社の経営者として苦労している友人もいるので、心配している。
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