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2022年3月10日 (木)

梨木香歩『家守綺譚』(新潮社)

 明治時代の話。学士綿貫征四郎が、友人高堂の実家の家守として独りで暮らす日常は、不思議なことが多いが、綿貫はそれを不思議とは思いながらもそういうこともあるか、と受け入れていく。友人の高堂は湖へボートを漕ぎ出し、行方不明のままで、すでに故人と思われる。その高堂がときどき訪ねてくるが、それも受け入れる。高堂の両親は嫁いだ娘の近くで隠居するために、綿貫にこの家の家守を託したのだ。雑文を書いて食いつないでいる綿貫は、ありがたくその依頼を引き受けた。

 

 山からの疎水を庭に引き入れているこの家にはさまざまな植物がある。高堂が行方不明になった湖も遠くではなく、山を越えれば往くことが出来る。四季折々の植物が狂言回しのように擬人化されていく。私は植物の名前と実物がよくわかっていないが、それでも楽しめるのだから、植物の好きなひとにはさらに楽しめる話かも知れない。

 

 この本は再読だが、一度目と同じように面白かった。ただ、私の記憶している話がないので、どうしたのかと思ったら、この続編があったのだ。『冬虫夏草』というその本も本棚にある。私が覚えていた河童やイワナの話はこちらに書かれているはずだ。そういうわけで、行きがかり上気持ちが治まらないから、『冬虫夏草』も読まねばなるまい。

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コメント

お久しぶりです。
「家守奇譚」は大好きな小説で、ここに出てくる花たちが面白くてのめり込んでしまいます。
特にカラスウリは夜8時ころから咲き始めて翌朝にはしおれてしまい、蜘蛛の巣ともレース編みともつかないような怪しい花なのですが、近所の廃屋に毎年咲くので楽しみにしています。続編はまだ文庫にはなってなかったのでしたっけ?単行本の古本を買ってもらって読みました。もう1冊関連本があって、綿貫の友人で村田エフェンディがトルコに滞在していた話も面白いです。どこか威厳のある犬や隣の女将さんも、村田がトルコで出会うオウムもどこか超然とした存在ですね。ちょっと疲れた日に読むと話の中に引き込まれて人間よりも植物や動物たちと心を通わせられるような気分にしてくれます。

ばんび様
コメントをありがとうございます。
書かれているとおりのことをイメージしながら読み進めています。
そういうことが不思議でも何でもない世界というのがあってもいいな、と思います。
そういえばこの本にはトルコの軍艦の遭難の話も書かれていました。
昨秋、串本の大島で、遭難碑を見てきたばかりです。

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