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2022年3月 8日 (火)

幻想

 いつものように気が散漫なときは何冊か並行して本を読む。すぐ飽きるからである。そうして読み始めたのが、梨木香歩の『家守奇譚』(新潮社)という本で、この本は一度読んでいる。梨木香歩という作家に出会ったのがこの本で、それ以来十冊あまりの本を読んだ。いわゆるヒロイックファンタジー的なものから、この本のような幻想小説(といっていいのかどうかちょっと迷うところもある)まで、幅があるし、エッセーも巧みで、もし読んだことがないならこの作家の本を是非読んでみて欲しい。ただし歯ごたえのある長いものもあるので、最初はよく選んだ方がよいだろう。

 

 この『家守奇譚』は一話数ページずつの小話の連続で構成されていて、それぞれに植物の名前が表題につけられている。もちろんずっとつながっていて、全体として物語が流れていく。あり得ないような、幻覚のような出来事が語られるけれど、それをそんなことはあり得ない、などと否定していてはそもそも話は始まらない。おとぎ話を読むのに、犬がしゃべるわけはない、鬼などこの世にいない、などと言っているようなものだ。

 

 幻想と幻覚はちがう。先日幻覚についてこのブログに書いた。幻覚を現実と認識してしまうのは精神の病である。幻想とは幻覚の話を受け入れながら、現実に戻ることの出来る状態で楽しむことであろうか。人間とは奇妙なものを愉しむものなのだ。

 

 私が泉鏡花を楽しむのもそういう楽しみであるが、過去そういう幻想小説でベストだと思うのはホフマンの『悪魔の美酒』という小説で、急に読みたくなって、昭和三十年代か四十年代に出版されたグリーン版の全集の中のホフマンがあったはずだと古書を探したが、どこも売り切れになって見つけられなかった。私は高校のときに学校の図書館で読んだものだから蔵書はない。

 

 ないとなるとますます欲しくなるが、古書は希求すると出逢えるという。出逢えるといいなあ。

 この下書きを書いたあと、古書組合から上記の本が見つかったと連絡があった。さっそく手配した。

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