外交
一部野党の議員は防衛力強化には反対であるという。それはそれぞれの主張であるから、認めるのにやぶさかではない。しかし「防衛という名で軍備を拡張するのは反対だ」と言い、「防衛よりも外交を優先すべきだ」と主張されると、首を傾げざるを得ない。日本の防衛力強化が、軍備拡張して他国を侵略できるほどのものとはとても思えないし、ロシアの侵略が現実に起きている現時点で反対するのは脳天気に過ぎると思う。
「外交で」、というのならまず自分がプーチンに「戦争をやめてくれ」と申し入れたり働きかけたりした上で、いささかでもその成果を上げてから言ってほしいものだ。世界中の首脳が外交的に働きかけた末の結果の現状であることを誰もが承知しながら、それでも「外交努力」と口で言っても屁の突っ張りにもならないことぐらい、自分でも承知しているのではないか。
戦争は悲惨だからやめろ、とか、原爆は悲惨だからなくせ、というのは誰にでも言えるけれど、言うだけでそれが達成できるならこんないいことはない。それが出来ないからそれに備えようという話なのだから、それをまず国会で話し合う必要があるのではないか。そうではないとそもそもなにも始まらないではないか。一切聞く耳を持たないことで却って覇権主義的な周辺国を勘違いさせたり利することになって、実力行使を呼び込むことになるのではないか。
尖閣問題は立憲民主党の前身である民主党政権のときに急速に悪化した。あのとき民主党はどんな外交をしたのか。それまで積み上げてきた中国との外交を壊滅的に破綻させたのではないか。同時にアメリカとも基地問題で摩擦を生じさせ、ギクシャクしてしまった。あれが外交か。
当時の野田首相は、政権末期の胡錦濤主席の懇請をにべもなく断り、ために胡錦濤は勢力を失った状態で習近平に引き継ぐことになった。日中関係は権力闘争に利用されたのである。習近平は労せずして胡錦濤の影響を排除できたことでいまの強権を手に入れた、と私は考えている。外交の失敗とはそういう意味である。いまだにその自覚も反省もないようだが。
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コメント
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こんにちは
よく左翼は「軍事力より外交力」とほざきますが、個人的には二重の意味で破綻したセリフだと思います。一つ目は「軍事力の裏付けのない外交力なんて金の裏付けがない金本位制のようなものだ」という当たり前の理屈です。そして二つ目はそもそもそれ以前に日本の政治家も外交官もそんな能力は無い。お前たちはいわば無い物ねだりをしているのだ。というこれまた当たり前の理屈です。そもそも左翼の皆さんは外交力の無い政治家やシャンペン外交しかやってこなかった外務官僚を真摯に見ていたのでしょうか?そもそもこんなセリフを吐くくらいですから知らないか知っていても現実逃避のつもりで言ったのでしょう。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2022年6月20日 (月) 15時51分
shinzei様
厳しいお言葉ですが、まったくその通りだと思います。
外務官僚のOBがしばしばテレビでコメンテーターとして語りますが、外務省の言い訳が多いように思います。
結果を理由として語ることが多いようです。
投稿: OKCHAN | 2022年6月20日 (月) 16時46分