映画『クリフハンガー フォールアウト』
2021年イギリス映画。舞台はロッククライマーが集まる大岸壁のあるイタリアのドロミテ山岳地帯。原題は『The ledge』だから岩棚ということで、岸壁にわずからせり出した突起状の足場のことをいうのは映画を観ていれば痛烈に理解できる。あのシルベスター・スタローン主演の傑作『クリフハンガー』を引き合いに出した邦題は、しかし名前負けしているとまでは言えない。高所恐怖症の人はとことんその恐怖を味わうことが出来るだろう。
ある思い出を胸に女友達と二人で岸壁登攀を計画して山小屋に泊まった主人公は、隣の山小屋の男達四人に夜の食事に誘われる。なんとなく気の乗らない主人公だったが、女友達に手を引かれてしぶしぶ座に加わるのだが・・・。
迫る危険に対しての感知能力の足らない人間が悲劇の被害者の一番目となり、なおかつ原因となってしまうという状況の映画は無数にあり、その愚かさ、無神経さにはいつも腹が立つのだが、そうでないと物語は始まらないから仕方がない。
犠牲者を出してしまったことでそれを糊塗しようとエスカレートして行く男たち、主人公のヒロインは装備不十分なまま岸壁を登攀することで虎口を脱する。男たちの一人は登攀能力があるが、他の男たちはそれが出来ず、別のルートから先回りしようとする。あと一歩のところで男たちが上の広い岩棚に到着してしまい、彼女は絶体絶命のピンチになる。それからの絶望的な攻防が映画のクライマックスで、見応え充分。思った以上に面白い映画だった。まだクラクラする。
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