受け売りではあるが
本を読んでいて、ちょっといいな、と思うところがある。私は本に線を引く、などの本への書き込みが嫌いなので、付箋を貼ることにしている。しかし読むのに夢中になっていると付箋を貼るのを忘れることの方が多い。
会田雄次の本を読んでいて付箋を貼ったところをもとにまとめてみる。
モンテーニュ(フランスの思想家)の引用
「自説に固執し、夢中になることは、愚鈍さの最も確かな証拠である」
ラシュフーコー(フランスのモラリスト)の引用
「率直とは、心をむき出しにすることである。このように率直な人はいくらもいない。普通、世間で見いだされる率直は、他人に信用されようとする巧妙ないつわりに過ぎない」
会田雄次は、自分で自分を正直者だ、という人間は信用できないと言い切る。全く同感だ。選挙の時の候補者はみな自分は正直だといっているではないか。
つづけて「ところがいまの日本の問題は、自分のような真面目人間が損をして、悪い人が得をしている。それは世の中が間違っているからだとか、正直者が損をする世の中です、などという言葉を自分のこととしていう言葉が政治家だけでなく一般社会にまであふれていることだ」と嘆いている。
受け売りだが、私もそう思う。何しろ私は真面目であると公言できるような人間ではないし、正直者とは恥ずかしくて言えないから、世の中をあしざまに言わなければならないほど恨んではいない。正義の味方が嘘くさくて嫌いなのはその故だろう。
ところで、石川啄木の『一握の砂』の中の有名な歌、
「働けど働けど 猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」
を急に思い出した。「ぢっと見た」啄木の手は労働でゴツゴツしていただろうか。多分華奢できれいな手をしていただろうと思う。だからどうというわけではないが。
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