『小川洋子の陶酔短編箱』
小川洋子が選び、それぞれに彼女の短いエッセイを添付した、奇妙な味わいの短編集。森鴎外や梶井基次郎があり、小池真理子や川上弘美がある。娯楽小説に集中できなくなっているが、こういうものならどんどん読める。『小川洋子の偏愛短編箱』に続くものらしいが、そちらは未読。
小川洋子は1962年、岡山県生まれの芥川賞受賞作家。彼女の原作をもとにした『博士の愛した数式』という映画で彼女のことを知り、いくつか短編を読んだことはあるが、まとめて読んだことはない。
川上弘美の『河童玉』、武田泰淳の『雀』などが特に印象に残った。井伏鱒二の『鯉』はかねがね安岡章太郎が絶賛していて一度読んだことがあるが、著者が改稿を繰り返しているという。少し短い気がしたので、最後のものかもしれない。
起承転結が短編小説の基本だが、そんな基本を外したものも多い。ただ、どれも読んだ後に奇妙な後味を残すものばかりだ。
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