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2022年8月 3日 (水)

『温泉百話 西の旅』(ちくま文庫)

 種村季弘、池内紀編集による、東の旅50編、西の旅50編の盛りだくさんな本をようやく読了した。大いに楽しませてもらった。数年後にまた読み直して楽しもうと思う。こういう本を読むと温泉に行きたくなるのはもちろんである。

 

 この西の旅には文豪の文章がたくさん収められている。主なところでは、森鴎外、島崎藤村、斎藤茂吉、有島武郎、志賀直哉、田山花袋、永井龍男、織田作之助、中里介山がいる。また、島尾敏雄、野坂昭如、田中小実昌、吉行淳之介、城山三郎、有吉佐和子、田辺聖子がいる。これでもたくさん書き漏らしているのである。さすがに皆文章が達者で、濃度が高い。

 

 選びようがないところを選べば、やはり大好きな志賀直哉の、『豊年虫』、森鴎外の『みちの記』、田山花袋の『水郷日田』なんかが特によかった。豊年虫とはカゲロウのことで、舞台は戸倉上山田温泉。この文章は全集で一度読んだことがあるが、志賀直哉のその描写は神業である。『水郷日田』には行きたいと思っていたところ(通過したことはある)でもあるし、特に思い入れを持って読んだ。それに田山花袋は小説以上に紀行文の名手でもある。

 

 鴎外の『みちの記』は碓氷峠を越えて軽井沢、そこから志賀高原の山田温泉まで行くという、当時としてはたいへんな旅をしたときの紀行で、私も今年の春その山田温泉に二度目の温泉行をしたばかりなので、情景がよく目に浮かんで懐かしかった。この凝縮された鴎外の文語文は素晴らしい。

 

 行きたい、そして、また行きたい温泉がたくさんあって、目がくらむ。

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コメント

 掲題の温泉とはちとそれるが森鴎外をピックアップしたい。
鴎外の住居跡を見に行って意外に小さなお宅に驚いた事を覚えている。
鴎外自身の事は割愛したいが、娘の茉莉さんの文庫本は実に面白い。
鴎外は軍人・医師・作家・父親として子供を育てあの時代を生きた
サラリ-マンだったのだ。

虹の囁き様
森鴎外の住居跡というのがどの家を指すのかわかりませんか、私は津和野の生家だ゛けしか訪ねたことがありません。
軍人をサラリーマンと言っていいのかどうか、私にはわかりません。
経営者ではなく、給料をもらっていたということならそうなのでしょうね。

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