誉田哲也『フェイク フィクション』(集英社)
昨日読み始めて400ページほどのこの本を一気に読了した。眠い。
誉田哲也の小説はバイオレンスアクションというジャンルに属するといえようか。このはなしはカルト教団がテーマだが、残念ながらそのカルト教団のおぞましさは詳しく語られているものの、どうしてそれがそれだけ狂信的な信者たちを集められたのか納得しがたく、教祖を取り巻く顔ぶれとその行動から考えると無理があるような気がする。
まあそれはそれとして、冒頭に発見された首なし死体の謎を巡り、警察の捜査が進められていく過程は作者お手の物の展開で、その捜査に次第に微妙な思惑が見えていく。さらに教団に愛する人を奪われてその復讐を狙う者たち、教団に囚われている女性を救おうという元キックボクサー、さらに教団の中枢に密着するヤクザの中堅幹部とその手先の暗殺者などが入り乱れて物語は展開していく。
途中で想像できないような結末は、この物語をいちおう好い気分で読み終えさせてくれる。バイオレンスアクション好きならいいが、本格ミステリーではないのでそのつもりで。
旧統一教会とは無関係の話だが、タイムリーではある。
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