第三部が始まる
人形劇による平家物語(原作は吉川英治の『新・平家物語』)の第三部が始まった(NHK)。一部十二話ずつ、第二部で平清盛が病死したところで終わっていた。第三部は木曽義仲と平家の戦いが主軸になるようだ。最後には、平家は義仲によって都を追われる。
どうして人形劇が人間によるドラマ以上に心に沁みるのか不思議だ。そこにこちらの想像力が働く部分がたくさんあることが理由だろうかと思う。
平家物語をちゃんと読んだことはないので、登場人物について疑問があってもそれが史実とどう違うのかわからない。たとえば木曽義仲の正妻が巴御前であるかのように語られている(私の勘違いか)のはいかがか。彼女は側室であるし、のちに頼朝に人質として差し出された義仲の息子義高の母ではない。
巴御前については、以前木曽街道の近くにある『義仲館』という、木曽義仲の記念館を訪ねたことがあって、そこで教えられて巴御前にまつわる寺や、巴淵(ともえぶち)という場所を見に行ったことがあり、いささか思い入れがある。
吉川英治は物語を実在ではない人物を狂言回しにすることで盛り上げるところがある。小説というものはそういうもの、といえばそれまでだが、それが私には少しうるさく感じられる。戦乱の世、そして権力者と庶民を外観的に見続ける、薬師(くすし)で後に医師になる麻鳥という人物が平家物語に本当に登場するのかどうか、一度調べようと思う。この登場人物は吉川英治が語りたいことを語らせるために彼の分身として書きこまれているように思うのだが。
蛇足ながらこの人形ドラマのナレーションは黒田あゆみ(現在の渡邊あゆみ)である。何度も結婚しているので名前も何度も変わっているが、私は昔から彼女の色気に参っているし、何よりその声の深い響きに参っている。とても好い。それにエンディングテーマを歌うのは尾崎亜美で、これもドラマによく合っている。毎回最後まで聞いてしまう。全体の出来が好いのである。良いものは時間を経ても色あせないことを教えてくれる。
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