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2022年9月25日 (日)

岩倉具視

 日本の歴史については不勉強であまり詳しく知らない。岩倉具視については、だから断片的なことしか知らないが、谷沢栄一と奈良本辰也の対談で、日本の歴史上の「宮廷政治」家として、後白河法皇と岩倉具視を挙げているのが興味深かった。

 

 二人に日本という国の政体構想があったかどうか疑問である、と語ったあと、自分たちが政権をとるにはどうしたらよいかということだけを考えて、博打的な行動に終始したという。奈良本辰也は「西郷には、仁政思想というものがあって、首尾一貫しているが、岩倉にはそれがないから、西郷などとは合わない。むしろ大久保利通と近いね」と語っている。

 

 それに賛同して谷沢栄一は「岩倉のエピソードの中で、人となりの正鵠を射ていると思うのは、孝明天皇暗殺疑惑です。孝明天皇の崩御はいまだに歴史の謎ですけれども、亡くなられて以後、いまだに岩倉がやったのではないかと思われている。暗殺が可能な立場にあったというだけではなく、岩倉ならやりかねん、という憶測ですね」とつづけている。

 

「岩倉に近づいた者は、利用されるだけ利用されて、弊衣のごとく捨てられている。後白河法皇もね、日本史上これはという人物を三人も殺している。平清盛、木曽義仲、源義経、みな歴史上に燦然と輝く人物ですよ。この三人をみな手玉にとって殺して葬りさっている」

 

 奈良本辰也はそう語ったあとに

 

「岩倉だって同じですね。相楽総三は小さな人物だけれども、岩倉から年貢半減令の許可証をもらって進軍している。いわば敵地に乗りこんで、農民に藩主を見捨てさせた。一番の要因は、年貢の半減だった。ところが明治政府だって収入源は年貢しかない。大隈重信の進言に、岩倉は年貢半減令をすぐさま取り消し、帰るよう命ずる。それどころか相楽らを偽官軍の汚名を着せて、斬り殺してしまう。そんなことを平気でやれる人物なんだね。その最たる者が孝明天皇暗殺の疑惑ですよ」

 

と、岩倉具視の人となりを述べる。

 

 相楽総三の「赤報隊」のことは、長谷川伸の『相楽総三とその同士』(講談社学術文庫)に詳しい。草莽の志士たちというのがどういう存在だったのか、知ることができると思う。幕末史に興味のある人なら、是非読んで欲しい労作だが、相楽総三を「弊衣のごとく」捨てたのが岩倉具視だったことを初めて知った。

 

 赤報隊始末史に革命の本質のようなものを感じていたが、その思いをさらに強くした。

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コメント

こんばんは
結局実働部隊の下の者は上の都合に振り回される。これが革命の正体ですね。
岩倉はその天罰かどうかは分かりませんが末期の食道がんで食事が摂れずに(当時は栄養点滴というものがありませんでした)飢えるがままに苦しみぬいた末に事切れたと言います。まあ、この時に井上馨に将来の日本を託す遺言を残したのを見れば少なくとも日本という国に責任を感じていたのでしょう。
では、
shinzei拝

shinzei様
革命というのはそういうもののようですね。
草莽の志士の一人一人には、それぞれの熱い理想があったと思いますが、殆どが夢に終わりました。
革命が成った後には実務が待っています。
そのときには草莽の志士は不要になり、違う人たちが世界を動かしていきます。

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