確信犯の饒舌
近く日本を離任することが決まっている駐日ロシア大使のガルージン氏が、昨晩のBSフジのプライムニュースに出演してウクライナ侵略戦争について蕩々とロシア側の主張を展開した。このひとは日本滞在が長く、日本語もふつうの日本人よりも巧みであり、その弁舌はあのオウム真理教の「ああ言えば上祐」をしのぐものがある。
その言い分は、西側諸国の一員である日本の国民として大いにバイアスのかかっている私には、ことごとく異様な主張ではあるが、ロシア人とっては当然の主張なのだと考えれば、その乖離の甚だしさに絶望的なものを感じざるをえない。
松岡洋右ほどとはいわなくても、戦時中の日本の外交官の多くもそのようであったかもしれない。そもそも外交官は一般国民よりもはるかにさまざまな情報に接する。自分の信ずるもの、自国の利益とは別に、それに反する情報にも接しながら、それに影響されないようにしなければ役割を維持できない。
しからばどうしても確信犯的な言動にならざるをえない。そうでなければ心の安定を保てないだろうと想像する。そんな風に考えるのは私が虚弱な精神の持ち主だからだろうか。
そうして確信犯として相手の主張に対して、自分の主張を異常なまでに饒舌に語るという図式となる。ガルージン氏にそういうものを見せられた。あまり見たくなかったのだけれど、これが最後だと思って我慢して観て聴いていた。ちょっとだけ、アメリカの罪、というものを考えさせられたりした。
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