映画『毎日かあさん』
西原理恵子の漫画が原作の、2011年・日本映画。西原理恵子のヘタウマな漫画は好みが分かれると思うが、私は昔から好きである。これはたぶんほぼ実話で、主人公の西原理恵子を小泉今日子が演じており、まことにはまり役。自然体でこの役をこなせる女優はこのひとしかいない。昨日観た『トロッコ』同様、子役がすばらしいので映画のリアリティが保持されている。
アル中で破滅型の夫を永瀬正敏が演じていて、やはりこのひともすぐれた俳優だと思う。このひとを初めて知ったのは、山田洋次が監督の『息子』という映画で、傑作だった。父親を三國連太郎が演じていた。ヒロイン役を和久井映見が演じていて、私はあまり好きではない女優だが、この役はもうけものだった。永瀬正敏の「いいではないか!」とつぶやく台詞が胸に刺さって忘れられない。ご承知の通り、小泉今日子と永瀬正敏は夫婦だったが、この映画のときにはすでに離婚している。
アル中の夫との壮絶な家庭生活を描きながら、そこに追い詰められた絶望がないのは、西原理恵子の人柄によるものだろう。だからこどもたちはのびのびと自由奔放に育っている。そして自由奔放でありながらも優しさを持ち合わせているのはすばらしいことだ。最後の最後まで夫を世話し、その最期を見送り、夫に「ありがとう」と心からいわれ、子供が傷つかないでいる、というのはなかなか出来ないことだ。人の強さとはなにか、考えさせられる。
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