高かったけれど高くなかった買い物
二十代の半ば、まだ給料はわずかであったが、そのわずかな給料に見合うだけの仕事も出来ないでいたのに、連日のんだくれていた。営業は多少手当が多いが、それもほとんど使いつくしていた。そんなときに、酔った勢いで高価な本を買った。社会思想社の『日本を知る事典』という、百科事典のように大きくて厚い本で、定価はなんと6800円、このあと次の給料までつましい日々を送らなければならなくなった。
民俗学に興味があったし、日本の習俗など、ほとんど知らないことが、これを読めばわかるのではないかと思ったのだ。いままでにたぶん1000円分くらいしか読んでいない。それでも折に触れ、ちょっと開いてみたりする。
日本人の特性は何かなど、大づかみのものの捉え方は普通読むことは出来ないけれど、この本には多くの専門家が、自分の考えることをこの本に書きこんでいる。玉石混淆だが、いろいろ教えられる。すでに失われた習俗も、ここに記されて残っている。せめてあと1000円分くらいは読みたいと思っているが、結局高い買い物ではなかったと今は考えている。どうせ飲んで使っただろう金だったのだから。
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コメント
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こんにちは
似たような本に『朝鮮を知る事典』がありますね。最近新版が出ました。出版社は平凡社でしたが・・・。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2022年11月 4日 (金) 13時44分
shinzei様
何冊かそういう本を持っていますが、本に興味のない人には価値がわからないみたいです。
別にわかってもらわなくてもかまいませんが。
投稿: OKCHAN | 2022年11月 4日 (金) 14時14分