しかたがないんだ
演歌が衰退した、というと演歌ファンは怒るだろうが、賛同する人は多いだろう。むかしは耳に入る音楽のジャンルは多くなくて、演歌が耳に入ることが多く、なじみもあったけれど、いまは多種多様で演歌との出会いは激減して、若い人は演歌を聴かない人がほとんどだと思う。演歌歌手もビッグスターが出にくくなった。
そんなことを考えていたら、千昌夫の『星影のワルツ』が頭に浮かんだ。『星影のワルツ』が演歌かどうか異論もあるかもしれない。演歌には別れの曲が多い。別れのシーンを想像するとしみじみとした哀感が湧く。そう言う涙が心を洗い、心が癒やされた気になるのかもしれない。そのなかの「しかたがないんだ君のため」という一節が昔から気になっていた。
むかしは「しかたのない」、個人では如何ともしがたいことで男女が別れざるをえないことがしばしばあった。そもそもが身分が違うから一緒になることが許されない関係などというものもあった。いまはほとんどそういうことはない。一緒になるのも別れるのも二人の意志による。愛し合うものの離別は、多くが病気や事故による死別だろう。
それなら「しかたがないんだ君のため」という言葉はあまり共感を呼ばないことになる。別れそのものが運命的なものではなくなって久しい。こんな言葉は男の都合のいい言い訳にしか聞こえない時代だ。演歌の常套句が時代から取り残されて、必然的に演歌そのものが衰退しているのではないか、などと妄想した。
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