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2022年12月 4日 (日)

いつものようにぼんやりと

 昨日から部屋を閉め切っていても室温が20℃を切るようになった。マンションの躯体はゆっくりと冷やされていく。体が順応できてありがたい。今日は洋楽が聴きたい気分で、カーペンターズやビージーズをかけながらウーロン茶などを飲んでぼんやりしている。

 

 小原信という倫理学者の書いた『状況倫理の可能性』という本を拾い読みしている。昭和46年の本だから、50年以上むかしに書かれているのだが、いま読んでもいろいろ考えさせられる。私は昭和50年版を持っていて、だから二十代の半ば過ぎ頃買ったのだろう。いつも拾い読みしていて完読していない。

 

「状況倫理」という言葉に惹かれたし、いかにも現代という時代を表していると思わないだろうか。いろいろな場所に掲載した文章を著者がアレンジしてまとめた本で、前半は「神」について論じている。ニーチェは神は死んだというけれど、それはどういう意味か、本当に神は死んだのか、神はそれなら存在していたということになるがそれはどういうことか、ということが書かれているらしい。「書かれているらしい」というのは、きっちり読み込めていないからそういうしかないのだ。

 

 表題の『状況倫理の可能性』という文章の冒頭

 

「現代人は渇いている。効き過ぎたスティームのある部屋にいるように、何もかもが合理的に管理され運営されてくると、何かむなしくなる。「生きがい」を求めている人は、心の渇きを癒やされたいと願っているのである。」

 

そうして自分自身の乾きについて具体的な経験を記したあと、

 

「現実において前よりもはるかに豊かになり、ゆとりのできつつある現代人には、影のごとくにつきまとう「さびしさ」がある。何をしてもよいが何をしなくてもよい。だが自由を与えられると、こんどは退屈の虫が動き出す。何もしたくないならじっとしていてもよさそうであるが、何もしないでいるということだけは、もともと人間には耐えられないことなのだ。ゆえに、余裕ができてくるにつれて、人は「生きがい」を模索し、新たに目指すべき指標「努力目標」が欲しくなるのである。」

 

「われわれにはもう、何が欲しいとか、何をしたいとかいうことではなく、何を欲すべきか、何をすべきなのかという、すぐれて倫理的な問いかけが各人の心のなかに芽ばえつつあるのではないか」

 

 宗教にはいろいろあるが、多くの宗教は生き方を細かく指示する。あれをしろこれをしろ、あれはするなこれはするな、豚は食べるな、牛は食べるな、何時に礼拝しろ・・・。さまざまな軌範にがんじがらめに見えるけれど、それに従順に従っていると何も考えなくていい。イスラム教もヒンズー教も、カトリックもそういう宗教といって好い。

 

 そして、その宗教のくびきからのがれた人びとは何をしてもいいし、しなくてもいいという自由を謳歌している。ところがそういうがんじがらめの宗教の国では人口が増え続けているのはどうしてだろうか。イスラム教徒はどんどん増えているのである。自由に疲れた人は宗教に向かう。

 

 トランプのような人物があそこまで支持を集めたのは、宗教的な背景があることが大きいような気がする。中国が力を維持するかどうか、あれはするなこれはするなの国こそが力を持つということなら、日本は衰退し、中国は衰退しないだろう。

 

 リタイアして何をしてもよいし、たいていのことができるゆとりもある身になって感じる「渇き」というものをどうにももてあましている。その渇きを癒やす出口は何か、映画も旅も読書もしたい放題だけれど、心はあまり潤わない。とはいえ、こんなのは贅沢なぼやきでただの格好ツケだ、といわれても一言もないが。

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