ゼロコロナ対策の皮肉
習近平による極端な封じ込めを伴うゼロコロナ対策が、国民の反撥行動で緩和される運びとなった。国民が緩和を求めたから緩和したのは明らかな事実なのだが、中国政府は決してそれを認めず、新型コロナが弱毒化したから緩和するのだ、と説明している。もし国民の反撥によるものと認めてしまえば、国民は政府の方針を行動によって変えさせたことを成功体験として学習してしまう。すでにそうなったけれど、これから抗議した者たちへの魔女狩りがはじまるだろう。それによって次の火種にしないためである。恐怖の支配が強化されるにちがいない。
ところでゼロコロナ政策を緩和したことでコロナ感染者が急増すれば、緩和は失敗したことになる。「緩和したのは国民が抗議したからである」という言い訳は、上記の理由でできない。もともとゼロコロナで中国国民には免疫ができていないから、これから急激の感染者が増えることは大いにあり得ることだ。
もし、運良く緩和をしても感染者が増えないとしたら、そもそもゼロコロナ政策というのが無意味な封鎖で国民に犠牲を強いた政策であったことになる。習近平は間違えたという証明になる。
どちらにしても習近平は上手に言い訳をするだろうけれど、国民は内心で「なんだこの指導者は」、と不信感をつのらせるだろう。折から、中国は経済的に衰退の兆候を示している。不動産バブルははじけ始めている。欧米からのさまざまな圧力がじわじわと効果をあらわし始めている。次の抗議行動が天安門事件のように虐殺で抑えきれるのかどうか、注視していきたい。
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