志賀直哉『クローディアスの日記』
体調を崩して、一日せいぜい五十ページくらいしか読めなかったのが、少しずつ読書量が恢復している。持続力はまだまだなので、私本来の並行読書のスタイルとなっている。『臼井吉見集』第五巻は、いま後半の『古典のおもしろさ』の文集を味わいながら読み進めていて、もうすぐ読み終わると思う。配達された先崎彰容(せんざきあきなか)の『ナショナリズムの復権』という本を読み始めた。政治思想に多少とも興味のある人なら、ぜひ読んで欲しい意欲的で面白い本だ。
余力があったので、志賀直哉の短編を二編ほど読んだ。志賀直哉は繰り返し読んでいる。私には読みやすい。自己中心的で自分の快不快がかかれているのにどうしてこんなに読んで面白いのか、私にもよく分からない。言葉の感性が合うのかもしれない。
『ハムレット』は高校生くらいのときに読んだきりであって、ちゃんと読んだとはいえない。ずいぶん昔のことだが、イギリスの演劇をテレビで観たことはある。そのハムレットの叔父であり、いまは母と結婚した新王がクローディアスである。そのクローディアスがハムレットの様子などを書き留めた日記、というのが志賀直哉の『クローディアスの日記』なのである。
その心理描写によって、ハムレットの疑いが妄想なのかクローディアスの自己欺瞞なのか、さらにハムレットによって次第に心理的に影響を受けていくことで自ら追い込まれていくクローディアスの様子などが巧妙に描かれている。志賀直哉にはこんな小説もあるのだ。
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