外山滋比古『惰性と思考』(扶桑社新書)
超ベストセラー『思考の整理学』で有名な外山滋比古(1923-2020)先生の軽いエッセイ集。枯淡の境地に入った著者が、日々の出来事、自分の見たまま感じたままを記している。すらすらと読めてしまって、何も感じなければそれだけのものである。ただ、書かれた時期が明記していないので、それぞれが何歳のときに書いたものか分からず、ずいぶん長い間のものがあつめられている気がする。感慨の背後が見えにくいのが残念だ。
老境が健康で生活に困らないことの境遇にあれば、このように平穏な暮らしを味わえるのであろう。何しろ先生は長命だった。読みかけのままどこかに行っていた本が出て来たのでもう一度読み始めたら、一気に読み終えてしまった。あやかりたいものだ。
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